総合評価落札方式の賃上げ加点とは?令和8年度の変更・表明書・実績確認・減点を行政書士が解説

賃上げ加点は、国の総合評価落札方式の入札で、従業員の賃上げを表明した会社に加点する仕組みです。国土交通省の工事では、大企業は3%以上、中小企業等は1.5%以上の賃上げを表明すると加点されます。令和8年4月1日以降に公告された国土交通省の工事などでは、加点の割合が技術点等の3〜5%に変わりました。賃上げを達成できなかった場合は、その後1年間、入札で減点されます。地方公共団体の入札は、この制度の対象外です。

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賃上げ加点の仕組み

国土交通省の資料にある、賃上げ加点の要点を、次の表にまとめます(国土交通省:賃上げ加点の概要資料)。

項目内容
対象の入札国の機関が発注する、総合評価落札方式によるすべての調達(令和4年4月1日以降に契約するもの)
加点の条件従業員への賃上げを表明した「表明書」を出す
賃上げの目標(国交省の工事など)大企業は3%以上、中小企業等は1.5%以上
賃上げの期間事業年度単位か、暦年単位かを選んで表明する
加点の割合(国交省の工事など、令和8年4月1日以降の公告)加算点の合計の3%以上
実績の確認事業年度・暦年が終わったあと、決算書などで確認する
達成できなかったときその後1年間、入札で加点より大きな割合の減点

制度の通知と資料は、国土交通省:総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置についてにまとまっています。NEXCOなどの特殊法人や地方公共団体の入札は、対象外です(国土交通省:賃上げ加点のQ&A(令和8年4月1日時点)P2)。

令和8年4月からの変更

令和8年4月1日以降に公告する国土交通省の工事・建設コンサルタント業務等では、新しい基準が使われます。変わった点を、次の表にまとめます(国土交通省:賃上げ加点のQ&A(令和8年4月1日時点)P3)。

項目令和8年3月31日までの公告令和8年4月1日以降の公告
加点の割合技術点等の5%〜10%技術点等の3%〜5%
加点の対象者・賃上げの目標大企業3%以上、中小企業等1.5%以上変更なし

令和8年3月31日までに公告された工事には、これまでの基準が使われます。実績の確認と減点も、これまでの基準によります(国土交通省:賃上げ加点のQ&A(令和8年4月1日時点)P3)。

制度がいつまで続くかは、現時点で決まっていません(国土交通省:賃上げ加点のQ&A(令和8年4月1日時点)P3)。

表明書の出し方

加点を受けたい会社は、入札のときに「従業員への賃金引上げ計画の表明書」を出します。表明書は、個別の工事の入札手続のときに出します(国土交通省:賃上げ加点のQ&A(令和8年4月1日時点)P7)。

項目内容
賃上げの対象会社全体の従業員(一部の部署だけにはできない)
下請対象外(元請の会社が対象)
共同企業体(JV)構成員すべてが賃上げを表明する必要がある
段階選抜方式二次選抜のときに使い、一次選抜には使わない
定期昇給前年度と比べて増えた分として評価される

賃上げの対象と下請の扱い、定期昇給はQ&AのP7、JVと段階選抜はP2〜3にあります(国土交通省:賃上げ加点のQ&A(令和8年4月1日時点))。

賃上げ実績の確認

加点を受けて落札した会社は、事業年度か暦年が終わってから3か月以内に、確認書類を発注者に出します(国土交通省:賃上げ加点のQ&A(令和8年4月1日時点)P9)。確認の方法を、次の表にまとめます(国土交通省:賃上げ加点の概要資料)。

表明の単位標準的な確認書類
事業年度単位法人事業概況説明書
暦年単位給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
上で確認できない場合税理士・公認会計士などの第三者が、同等の賃上げ実績を確認できると認めた書面

給与等受給者1人当たりの給与総額で確認するのが、標準の方法です。中小企業等は、給与総額でも確認できます(国土交通省:賃上げ加点の概要資料)。

実情に合わせた評価の例

会社の実情に合わせて、次のような方法で評価することも認められています(国土交通省:賃上げ加点の概要資料)。

評価の方法想定している場面
継続して雇っている従業員への支給額で評価ベテランが退職し、新卒採用で給与総額が減る場合
再雇用や育児・介護休暇の人などを除いて評価雇用の確保やワークライフバランスの取組
超過勤務手当などを除いて評価計画的に残業を減らしている場合
災害時の残業や、業績による賞与などを除いて評価会社がコントロールできない変動

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達成できなかったときの減点

賃上げの基準に達していない場合は、発注者から通知があり、通知された日から1年間、入札で減点されます(国土交通省:賃上げ加点のQ&A(令和8年4月1日時点)P9)。減点の範囲を、次の表にまとめます。

会社の区分減点される入札
大企業国土交通省の直轄工事・建設コンサルタント業務等の総合評価落札方式
中小企業等国の総合評価落札方式による調達すべて

減点は、通知のあとに公告された案件から適用されます。減点の対象になった会社の名前は、公表されません(国土交通省:賃上げ加点のQ&A(令和8年4月1日時点)P9)。

天災地変などやむを得ない事情で賃上げできなかった場合は、減点しない扱いもあります(国土交通省:賃上げ加点の概要資料)。

入札の準備との関係

国の総合評価落札方式の入札に参加するには、まず入札参加資格と経営事項審査が必要です。入札参加資格は、入札参加資格申請の記事で説明しています。

経審の点数のW(その他の審査項目)にも、えるぼし・くるみんの認定など、働き方に関わる項目があります。くわしくは、経審の点数(P点)の仕組みの記事をご覧ください。

経審・入札の記事

経審と入札について、次の記事で説明しています。

賃上げ加点のよくある質問

賃上げ加点は、どの入札が対象ですか?

国の機関が発注する、総合評価落札方式による調達です。地方公共団体やNEXCOなどの入札は対象外です。

どのくらい賃上げすれば加点されますか?

国土交通省の工事などでは、大企業は3%以上、中小企業等は1.5%以上の賃上げを表明すると加点されます。

令和8年度から何が変わりましたか?

令和8年4月1日以降に公告する国土交通省の工事などで、加点の割合が技術点等の5〜10%から3〜5%に変わりました。対象者と賃上げの目標は変わっていません。

下請の会社も、賃上げの対象になりますか?

なりません。対象は元請の会社です。

建設部門の従業員だけ賃上げすればよいですか?

いいえ。会社全体での賃上げが対象で、一部の部署だけに限ることはできません。

賃上げの実績は、どの書類で確認しますか?

事業年度単位なら法人事業概況説明書、暦年単位なら法定調書合計表が標準です。確認できない場合は、税理士や公認会計士などの確認書面を使えます。

実績の書類は、いつまでに出しますか?

表明した事業年度か暦年が終わってから、3か月以内です。

賃上げを達成できなかったら、どうなりますか?

通知された日から1年間、入札で加点より大きな割合の減点を受けます。会社名は公表されません。

共同企業体(JV)で加点を受けるには?

構成員の会社すべてが、賃上げを表明する必要があります。

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このページの監修者

氏名岡 高志(おか たかし)
資格行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号)
登録の確認登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます
事務所岡高志行政書士事務所(2011年開業)
制度情報の時点2026年10月時点の法令・手引きに基づきます
詳しい経歴運営者情報
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