建設業の営業停止処分の事例とは?無許可営業・無許可業者との下請契約・工事事故で処分された例を解説

建設業者の営業停止は、実際には「無許可営業」「無許可業者との下請契約」「工事事故などの法令違反」でよく命じられています。東京都は2020年に、こうした違反をした業者に、3日〜7日の営業停止を命じました。営業停止は建設業法第28条第3項にもとづく処分で、期間は1年以内です。許可のない人が500万円以上の工事を請け負うことも、営業停止の対象になります。違反の種類ごとの日数の目安は、監督処分の基準の記事で説明しています。

この契約や事故は、処分の対象になる?

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営業停止になった3つの事例

東京都が2020年に公表した営業停止のうち、よくある3つの型を、次の表にまとめます。会社名は伏せて公表されています。

事例処分の理由当てはまった条文営業停止
無許可営業許可がないのに、共同住宅の内装工事で500万円以上の請負契約を結んだ建設業法第28条第2項第2号3日間(営業の全部)
無許可業者との下請契約許可のない業者と、軽微な工事の範囲を超える下請契約を結んだ建設業法第28条第1項第6号7日間(営業の全部)
工事事故掘削溝の土止めを怠り、労働者1名が死亡。会社と現場代理人が罰金刑建設業法第28条第1項第3号3日間(営業の全部)

それぞれの発表は、東京都のページで確認できます。

無許可営業:許可がないのに500万円以上の工事を請け負った

許可を受けずに建設業を営めるのは、軽微な工事だけです。軽微な工事とは、1件の請負代金が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅)の工事です(e-Gov法令検索:建設業法施行令第1条の2)。

東京都の事例では、許可のない業者が、共同住宅の内装工事でこの金額以上の契約を結びました。許可のない業者でも、「請負契約に関し著しく不誠実な行為」として、営業停止を命じられます(東京都:建設業者に対する営業停止命令について(2020年3月18日))。同じ日の発表には、店舗の内装工事で同じ違反をし、4日間の営業停止になった例もあります(東京都:建設業者に対する営業停止命令について(2020年12月23日))。

無許可業者との下請契約:下請に許可がなかった

許可のある会社でも、許可のない業者に軽微な工事の範囲を超える工事を下請に出すと、処分の対象です。建設業法第28条第1項第6号が、この場合を処分の理由として定めています(e-Gov法令検索:建設業法)。

東京都の事例では、元請の会社に7日間の営業停止が命じられました(東京都:建設業者に対する営業停止命令について(2020年12月23日))。国土交通省の基準でも、無許可業者との下請契約は「7日以上の営業停止」です(国土交通省:建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準(令和8年10月1日改正)P11)。下請に出す前に、相手の許可の業種と有効期間を確かめることが大切です。

工事事故:安全対策を怠って死亡事故が起きた

工事事故そのものではなく、事故の原因になった法令違反で刑に処せられたことが、処分の理由になります。建設業法第28条第1項第3号の「業務に関し他の法令に違反し、建設業者として不適当」に当たるためです。

東京都の事例では、労働安全衛生法違反で会社と現場代理人が罰金刑を受け、3日間の営業停止になりました(東京都:建設業者に対する営業停止命令について(2020年5月18日))。労働者の負傷を労働基準監督署に報告しなかったことで、3日間の営業停止になった例もあります(東京都:建設業者に対する営業停止命令について(2020年12月23日))。

国土交通省の基準では、労働安全衛生法違反で刑に処せられた場合は原則として指示処分です。工事関係者に死亡者や3人以上の負傷者が出た特に重大な事故は、3日以上の営業停止です(国土交通省:建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準(令和8年10月1日改正)P9)。

営業停止のほかに受けるもの

違反の内容によっては、営業停止のほかに、刑事罰や許可への影響があります。主なものを、次の表にまとめます。

受けるもの内容根拠
刑事罰(無許可営業)3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。法人は1億円以下の罰金建設業法第47条・第53条
営業の禁止営業停止の期間中、役員等も新たに同じ営業を始められない建設業法第29条の4
許可が受けられない期間建設業法違反などで罰金刑を受けると、5年間は許可を受けられない建設業法第8条第8号
処分の公表営業停止は公告され、監督処分簿で閲覧できる建設業法第29条の5

条文は、e-Gov法令検索:建設業法で確認できます。営業停止の期間が終わっていない会社も、許可を受けられません(第8条第5号)。

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処分を受けないために確認すること

3つの事例は、どれも事前の確認で防げたものです。確認することを、次の表にまとめます。

場面確認すること
工事を請け負うとき請負代金が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)なら、その業種の許可があるか
工事を分けて契約するとき同じ工事を分けた契約は、合計額で判断される(正当な理由がある場合を除く)
材料を注文者が出すとき材料の市場価格と運送賃を、請負代金に足して判断する
下請に出すとき下請の工事が軽微な工事を超えるなら、下請業者がその業種の許可を持っているか
工事を始める前労働安全衛生法の措置(掘削の土止めなど)と、事故の報告の手順

工事の合計額と材料費の扱いは、e-Gov法令検索:建設業法施行令第1条の2で決まっています。相手の許可は、国土交通省:建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで調べられます。

監督処分の記事

監督処分と、関わりの深い手続について、次の記事で説明しています。

建設業の営業停止処分のよくある質問

許可を持っていなくても、営業停止になりますか?

なります。許可のない業者が500万円以上の工事を請け負うなどすると、都道府県知事が営業停止を命じることがあります。東京都では、3日間や4日間の営業停止の例があります。

下請に許可がなかった場合、元請も処分されますか?

処分されます。許可のない業者と、軽微な工事の範囲を超える下請契約を結ぶと、元請の会社が営業停止の対象です。国土交通省の基準では7日以上です。

工事中の事故で、営業停止になることはありますか?

あります。事故の原因になった労働安全衛生法違反などで刑に処せられると、処分の対象です。死亡者が出た事故で、3日間の営業停止になった例があります。

営業停止の期間は、最長でどのくらいですか?

建設業法では、1年以内の期間を定めて命じることになっています。談合や贈賄で代表者が刑に処せられた場合などは、1年間の営業停止です。

無許可営業には、刑事罰もありますか?

あります。3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。法人には、1億円以下の罰金が科されることがあります。

罰金刑を受けると、許可にどう影響しますか?

建設業法違反などで罰金刑を受けると、刑の執行を終わってから5年間は許可を受けられません。役員等が当てはまる場合も同じです。

営業停止は公表されますか?

公表されます。営業停止は公告され、国土交通省や都道府県の監督処分簿で閲覧できます。東京都も、報道発表で公表しています。

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このページの監修者

氏名岡 高志(おか たかし)
資格行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号)
登録の確認登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます
事務所岡高志行政書士事務所(2011年開業)
制度情報の時点2026年10月時点の法令・手引きに基づきます
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