経営事項審査 の主な改正の変遷(令和7年1月版)

経審についての最新情報を当サイトではまとめております。配点方法は時系列で追ってみると社会課題の変化もよくわかるものです。 経営事項審査 の主な改正の変遷を整理してまいります。

「 経審 」 経営事項審査とは

国や、地方公共団体、独立行政法人や政府関係機関などの公共工事の発注機関は、入札に必要な資格基準を定め、公共工事の入札参加を希望する建設業者の資格審査を個々に行っています。この資格審査では、建設業者の「主観的事項」と「客観的事項」の2つの結果を総合的に勘案して、格付け・順位付けを行います。

このうち「主観的事項」は、各発注機関が建設業者の過去の工事実績や工事や地域の特性に応じて独自に設けている審査項目です。

一方で 「客観的事項」 の審査については、 発注機関によってばらつきがあっては公平な判断ができないため、許可行政庁が統一的に審査することになっています。経営事項審査は、この「客観的事項」の役割を担っており、公共工事を直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。この審査には、建設業者の経営規模の認定(x)、技術力の評価(z)、社会性の確認(W)及び経営状況の分析(Y)があり、客観的評価が付されます。

経営事項審査 の主な改正の変遷

平成20年4月改正

経営事項審査が公共工事の企業評価における物差しとなっておりますが、公正かつ実態に即した評価基準となるよう、また生産性の向上や経営の効率化に向けた企業努力を後押しするものとなるよう見直しが図られました。

評価項目及び基準の見直し

(X) 完工高、利益、資本ストックをバランス良く加味した規模評価

  • 完工高(X1)のウェイトを0.35から0.25に、上限金額を2,000億円から1,000億円に引き下げ
  • X2の指標として、利益額(EBITDA)、自己資本額を評価

(Y) 企業実態を的確に反映した経営状況評価

  • 負債抵抗力、収益性・効率性・財務健全性、絶対的力量を評価できる8指標による新たな評価体系
  • 企業実態に即した評点分布となるよう評点分布を見直し

(Z) より的確な技術力評価

  • 元請のマネジメント能力を評価する観点から、新たに元請けの完工高を評価
  • 技術力( Z )のウェイトを0.2から0.25に引き上げ
  • 法令に基づく制度化を前提に、基幹技能者を優遇評価
  • 一人の技術者を複数業種での重複カウントすることを2業種までに制限
  • 技術職員数における激変緩和措置を廃止

(W) 社会的責任の果たし方によって差のつく評価

  • 労働福祉の状況や防災協定の締結、営業年数等について加点・減点の幅を拡大するとともに、W評点の上限を引き上げ
  • 法令遵守状況を評価対象に追加
  • 会計監査法人の設置等、経理の信頼性向上の取組みを評価

虚偽申請防止の徹底

  1. 虚偽申請を行いにくい制度設計
    経理の信頼性向上の取組み(会計監査人の設置等)を評価
  2. 虚偽申請に対するペナルティ強化
    虚偽申請を行った場合の営業停止期間を15日から30日に拡大

企業形態の多様化の的確な対応

  1. 経営状況の連結評価
    会社法上の大会社かつ有価証券報告書提出会社は、経営状況を連結決算で評価
  2. 新たな企業集団評価制度の創設
    一定の企業集団に属する連結子会社は経営状況を、連結財務諸表により評価。その他の評価項目は、子会社の実際の数値で評価

その他

経営事項審査のための提出書類の見直し

建設業法施行規則及び関連告示、通知等の改正が実施され、建設業許可申請書類関係についても様式第2号の統一や財務諸表等を改正

平成23年4月改正

建設会社の経営や工事の施工に対して、不正な高得点の取得を防止するなど、企業実態をより公平・適正に評価する、また再生企業に対する評価の不平等感に配慮し、建設業者の社会性について審査項目などが追加されました。

技術者の常勤性について厳格化

  • 技術者の対象を「審査基準日前6か月を超える恒常的雇用関係のある者」に限定
  • 高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度対象者は、雇用期間が限定されていたとしても評価

完成工事高の評点テーブルの上方修正

平成22年度の建設投資見込額を基に、X1, Z2評点が制度設計時の平均点である700点になるよう底上げ

  • 完工高(X1)の評点テーブルの上方修正
  • 元請完工高(Z2)の評点テーブルの上方修正

再生企業に対する減点

経営不振により再生した企業に対して、経緯や公平性を考慮し一定の減点措置を創設

  • 再生期間中、W点で一律60点の減点
  • 再生期間終了後、「営業年数」評価はゼロ年から再スタート

社会性の評価項目

  • 建設機械の保有状況を追加
  • I S 0 9 0 0 0シリーズ、1 4 0 0 0シリーズの取得状況を追加

平成24年7月改正

法令を遵守し、適正に法定福利費を負担する企業ほど、経営事項審査の評点において不利になっている不公平の是正、建設企業の活動範囲が海外に拡大している中、海外子会社の経営実績がない現状に対して推進を図る目的も踏まえて、審査項目及び基準について改正されました。

社会保険等未加入企業への減点措置の厳格化

「労働福祉の状況」(W1)のうち、保険制度の加入状況により適正に評価するとともに未加入業者に対して指導等を行う。

  1. 「健康保険及び厚生年金保険」を「健康保険」と「厚生年金保険」に区分
  2. 「雇用保険」、「健康保険」、「厚生年金保険」について未加入の場合の減点幅をそれぞれ40点に拡大

外国子会社の経営実績の評価

外国子会社により事業を展開している企業の経営実績を適正に評価するため、外国子会社の経営規模に係る数値を評価対象とする。

  1. 外国子会社の完成工事高(X1 )
  2. 外国子会社の自己資本金額及び利益額(X2)

平成27年4月改正

品確法改正を踏まえた形で、若年の技術者・技能労働者等の育成及び確保の促進を中心とする改正が行われました。

若年技術者雇用への加点

  • 申請基準日時点で、35歳未満の技術職員の人数が、技術職員の人数の合計の15%以上の場合、W点を1点加点
  • 審査基準日から遡って1年以内に新たに技術職員となった3 5歳未満の技術職員の人数が、審査基準日における技術職員の人数の合計の1%以上の場合、W点を1点加点

建設機械の保有状況にかかる追加

建設機械の保有状況の加点対象に、次の3機種を追加

  1. 移動式クレーン(吊り上げ荷重3t以上)
  2. モーターグレーダー(自重が5t以上)
  3. 大型ダンプ車(車両総重量8t以上又は最大積載量5t以上で事業の種類として建設業を届け出、表示番号の指定を受けているもの)

技術者の資格の追加

職業能力開発促進法による技能検定に「型枠施工」及び「建築板金(ダクト板金作業)」を追加

平成28年6月改正

解体工事に関する施工技術の専門化や施工実態の変化を踏まえ、業種区分に「解体工事業」が新設されたことに伴いまして、不利が生じないよう経過措置を定めました。

解体工事業の追加に伴う経過措置

業種区分「解体工事業」の新設に伴い、平成28年6月1日から和元年5月31日までに限り、とび・土工・コンクリート工事の「完成工事高(X1)」と「技術職員数(Z1)」及び「総合評定値(P)」において、解体工事を切り分けることによる点数の低下を避けるための経過措置を適用

平成28年8月改正

主任技術者要件として新たに「登録解体工事試験」、「登録基礎ぐい工事試験」の合格者を位置付けるにあたり、各々の評点について定めました。

技術職員数における加点

「登録解体工事試験」、「登録基礎ぐい工事試験」の合格者は、2級技術者として2点を加点

平成30年4月改正

今後の建設産業政策の方向性を受け、「建設業界内外の連携による働き方改革」「多様な主体との連携による良質な建設サービスの提供」及び「地域力の強化」の観点から改正が行われました。

W点のボトムの撤廃

W点について、合計値がマイナスの場合は0点として扱われていたところ、今後はマイナス値で計算(ボトムの撤廃)

これにより、社会保険未加入企業や法律違反等への減点措置を厳格化

防災活動への貢献状況の加点幅の拡大

防災協定を締結している場合は、15点加点から20点加点に拡大

建設機械の保有状況の加点方法の見直し

「1台につき加点1点」を「1台目を加点5点とする加点テープル」見直し(最大15点は変更なし)

建設機械の保有状況にかかる追加

建設機械の保有の加点対象に、営業用の大型ダンプ車(主として建設業の用途に使用するもの)を追加

令和2年4月改正

新たにスタートした建設キャリアアップシステム(CCUS)の判定を受けている一定の技能者を、技術職員として評価する改正が行われました。

技術職員数にかかる改正

審査基準日時点で建設キャリアアップカード(レベル4、レベル3)の判定を受けている技能者を、技術職員として評価

レベル4技能者は3点を加点、レベル3技能者は2点を加点

令和3年4月改正

優秀な技術者・技能者を雇用する建設業者を適切に評価すること及び、建設業者による技術者・技能者のスキルアップの取組の状況を評価することを中心とする改正が行われました。

技術職員数にかかる追加

新設された「監理技術者補佐」は、「主任技術者となる資格を有し、一級技士補である者」であり、主任技術者相当の者より上位であり監理技術者相当の者より下位である、4点として評価

労働福祉の状況における加点

労働福祉の状況における加点対象として、中小企業等協同組合法に基づき共済事業を営む者との間の契約についても同様に加点

建設業の経理の状況にかかる改正

企業会計基準が頻繁に変化する中で、継続的な研修の受講等によって最新の会計情報等に関する知識を習得することが重要になってきていることを踏まえ、公認会計士等の数の算出にあたって算入できる者を、経理に関して継続的に知識の向上に努めていることを条件とした。

知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)の新設

  • 継続的な教育意欲を促進させていく観点から、建設業者による技術者及び技能者の技術又は技能の向上の取組の状況を評価
  • 技術者に関する評価については、所属する技術者が審査基準日以前1年間に取得したC PD単位の平均値により評価
  • 技能者に関する評価については、所属する技能者のうち認定能力評価基準により受けた評価が審査基準日以前3年間に1以上向上した者の割合により評価

経営事項審査 代理申請は行政書士へ

岡高志行政書士事務所は、建設業許可申請に強みを持ちます。書類準備や手続きのサポートを通じて、申請者の負担を軽減し、スムーズな許可取得を実現する役割を果たします。適切な書類選定や最新情報への対応が重要であり、建設業許可申請を計画している方には、信頼できる行政書士への相談を強くおすすめします。

参考記事:建設業許可申請の進め方

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