指名停止とは?期間・影響・営業停止との違い・解除を行政書士が解説

指名停止とは、発注者が、事故や不正を起こした入札参加資格者を、一定の期間、入札に参加させない措置です。東京都や国土交通省などの発注者が、それぞれの要綱・要領で、原因と期間を決めています。東京都では、期間中は都の入札に参加できず、都の工事を下請することもできません。建設業法による営業停止とは、別の措置です。この記事では、東京都と国土交通省の決まりをもとに説明します。

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指名停止とは

東京都では、入札参加資格者が要綱の別表の要件に当たると、指名停止を行います(東京都:東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱第2)。指名停止に至らない場合は、「注意の喚起」を行うことがあります。

国土交通省の地方整備局も、措置要領の別表の要件に当たると、指名停止を行います(国土交通省:工事請負契約に係る指名停止等の措置要領第1)。指名停止を受けると、どうなるかを、次の表にまとめます。

発注者指名停止の期間中にできなくなること根拠
東京都入札参加の申請・希望申請の受付、指名、落札の決定などを受けられない要綱 第3の3
東京都手続の途中の案件も、その後の手続(契約の締結を含む)に参加できない要綱 第3の4
東京都都が発注する工事を、下請したり受託したりできない要綱 第3の5
国土交通省(地方整備局)指名されない。すでに指名されていれば取り消される措置要領 第1
国土交通省(地方整備局)原則として随意契約の相手方にならない。工事の下請・受託も承認されない措置要領 第7・第8

共同企業体(JV)や、責任のある下請負人も、あわせて指名停止になることがあります(要綱 第4、措置要領 第2)。

指名停止と営業停止の違い

指名停止と営業停止は、名前が似ていますが、根拠も効果も違います。違いを、次の表にまとめます。

項目指名停止営業停止
根拠発注者の要綱・要領建設業法第28条
決めるところ発注者(東京都、地方整備局など)許可行政庁(国土交通大臣、都道府県知事)
効果その発注者の入札に参加できない建設業の営業の全部または一部ができない
期間発注者の決まりによる(東京都は合算しても36月まで)1年以内

営業停止の根拠は、e-Gov法令検索:建設業法第28条第3項です。東京都では、建設業法違反で営業停止処分を受けると、そのことを理由に指名停止にもなります(東京都:東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱別表4(4))。

経審のW(法令遵守)で評価されるのは、建設業法第28条による営業停止・指示処分の有無です(東京都:経営事項審査申請説明書(令和8年度)P69)。経審の点数は、経審の点数(P点)の仕組みの記事で説明しています。

東京都の指名停止の期間(主なもの)

東京都の要綱では、措置要件ごとに期間の幅と標準の期間が決まっています。建設業者に関係の深い主なものを、次の表にまとめます(東京都:東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱別表)。

措置要件期間(標準)
代表者などが、都の職員への贈賄の容疑で逮捕・起訴された12月以上24月以内(標準24月)
都が発注した契約の事故で、公衆に死者を出すなどした2月以上6月以内(標準4月)
都が発注した契約の事故で、公衆に負傷者を出すなどした1月以上3月以内(標準2月)
都が発注した契約の事故で、従業員などに死者や多数の負傷者を出した1月以上3月以内(標準2月)
都が発注した工事の成績評定が60点未満だった1月以上12月以内(点数に応じて標準1月〜9月)
都が発注した工事を粗雑にした1月以上12月以内(標準9月)
都が発注した契約に関する談合・競売入札妨害で、逮捕・起訴された9月以上24月以内(標準18月)
都が発注した契約に関する独占禁止法違反7月以上24月以内(標準14月)
都が発注した契約に関する建設業法違反で、営業停止処分を受けた3月以上9月以内(標準4月)
労働安全衛生法違反の容疑で、逮捕・起訴された1月以上3月以内(標準2月)

都が発注した契約以外の違反は、関東地方かどうかなどで期間が短くなります。期間の決め方の決まりを、次の表にまとめます(要綱 第5)。

場面期間の決め方
一つの事象で、二つ以上の要件に当たるいちばん長い期間の要件を使う
別の事象で、それぞれ要件に当たる期間を合算できる(合算しても36月まで)
指名停止の期間中か、満了後3年以内に、同じ種類の要件に当たる標準の期間に加算できる
事故の事後処理が適切だった標準の期間より短くできる
期間が1月に満たない1月とする

国土交通省(地方整備局)の指名停止の期間

国土交通省の地方整備局は、「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」で期間を決めています。事故などに関する主な要件を、次の表にまとめます(国土交通省:工事請負契約に係る指名停止等の措置要領別表第1)。

措置要件期間
入札前の調査資料などに、虚偽の記載をした1か月以上6か月以内
地方整備局が発注した工事を、過失で粗雑にした1か月以上6か月以内
地方整備局が発注した工事で、契約に違反した2週間以上4か月以内
発注工事の安全管理が不適切で、公衆に死傷者や損害を出した1か月以上6か月以内
発注工事の安全管理が不適切で、工事関係者に死傷者を出した2週間以上4か月以内

その地方整備局の区域内での建設業法違反は、1か月以上9か月以内です。区域内での独占禁止法違反は、2か月以上9か月以内です(別表第2)。指名停止の期間中か、満了後1年以内に再び要件に当たると、短い方の期間が原則2倍になります(措置要領 第3)。

極めて悪質な場合などは、長い方の期間の2倍(36か月まで)まで延ばせます(措置要領 第3)。措置要領は、令和2年12月25日に最終改正されたものです。

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通知・公表・苦情の申立て・解除

指名停止を受けると、発注者から書面で通知が届きます。東京都の要綱にある手続を、次の表にまとめます。

手続内容根拠
通知指名停止を行ったときは、遅滞なく通知する要綱 第6
説明を求める通知を受けた人は、財務局長に説明を求められる要綱 第6
苦情の申立て説明に不服があれば、通知が届いた翌日から10日以内(休日を除く)に申し立てられる要綱 第7
再苦情の申立て回答に不服があれば、さらに申し立てられる。東京都入札監視委員会の意見を聞いて回答する要綱 第8
公表業者名、理由、期間などを公表する要綱 第9
解除責任を負わないことが明らかになったときは、指名停止を解除する要綱 第10

東京都の指名停止中の業者一覧は、東京都電子調達システムに掲載されています。関東地方整備局の指名停止は、国土交通省関東地方整備局:指名停止措置情報で公表されています。

国土交通省でも、責任を負わないことが明らかになったときは、指名停止を解除します(措置要領 第3)。指名停止に至らない場合は、警告や注意の喚起を行うことがあります(措置要領 第10)。

入札参加資格を取る前でも、指名停止になる

東京都では、まだ入札参加資格を持っていない会社が要件に当たった場合も、指名停止の対象になります。資格を取った日を始まりとして、指名停止が行われます(要綱 第13)。

入札参加資格の申請に虚偽があると、資格の取消しや指名停止になることがあります(東京都:随時申請の手引(建設工事等・令和7・8年度)P8)。申請の仕方は、入札参加資格申請の記事で説明しています。

談合の事例は、東京オリンピック談合からつながる指名停止の記事で紹介しています。

経審・入札の記事

経審と入札について、次の記事で説明しています。

指名停止のよくある質問

指名停止とは何ですか?

発注者が、事故や不正を起こした入札参加資格者を、一定の期間、入札に参加させない措置です。発注者ごとの要綱・要領で決まっています。

指名停止を受けると、何ができなくなりますか?

東京都では、期間中は都の入札に参加できず、都が発注する工事の下請や受託もできません。

指名停止と営業停止は、どう違いますか?

指名停止は発注者の措置で、その発注者の入札に参加できなくなります。営業停止は建設業法第28条による処分で、建設業の営業ができなくなります。

東京都の指名停止の期間は、どのくらいですか?

措置要件ごとに決まっています。たとえば都の発注工事を粗雑にした場合は1月以上12月以内(標準9月)です。合算しても36月までです。

工事の成績が悪いと、指名停止になりますか?

東京都では、都が発注した工事の成績評定が60点未満だと、1月以上12月以内の指名停止の対象になります。

営業停止処分を受けると、指名停止にもなりますか?

東京都では、建設業法違反で営業停止処分を受けたことが、指名停止の措置要件になっています。

指名停止に不服があるときは、どうしますか?

東京都では、まず財務局長に説明を求められます。説明に不服があれば、通知が届いた翌日から10日以内(休日を除く)に苦情を申し立てられます。

指名停止は、公表されますか?

公表されます。東京都は業者名、理由、期間などを公表し、電子調達システムに一覧を掲載しています。

指名停止は、経審の点数に影響しますか?

経審のWの法令遵守で評価されるのは、建設業法第28条による営業停止・指示処分の有無です。

入札参加資格を持っていなくても、指名停止になりますか?

東京都では、なります。資格を取った日を始まりとして、指名停止が行われます。

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このページの監修者

氏名岡 高志(おか たかし)
資格行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号)
登録の確認登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます
事務所岡高志行政書士事務所(2011年開業)
制度情報の時点2026年10月時点の法令・手引きに基づきます
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