総合評価落札方式 における 賃上げ加点 措置を整理しました。
令和2年11月19日閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」において、賃上げを行う企業から優先的に調達を行う措置などを検討するとされたことを受けて、
国土交通省では、総合評価落札方式の評価項目に賃上げに関する項目を設けることにより、賃上げ実施企業に対して評価点又は技術点の加点を行うこととなっています。
その具体的な内容や運用を整理します。
賃上げ加点 賃上げを実施する企業に対する加点措置の概要
適用対象
令和4年4月1日以降に契約を締結する、総合評価落札方式によるすべての調達。
賃上げ加点 評価
従業員に対する目標値(大企業:3%、中小企業等:1.5%(事業年度または暦年単位))以上の賃上げを表明した入札参加者を総合評価において加点。
加点を希望する入札参加者は、賃上げを従業員に対して表明した「表明書」を提出。
加点割合は5%以上。
賃上げ加点 賃上げを実施する企業に対する加点イメージ
加算点の合計の5%以上となるよう加点の配点を設定
実績確認等
加点を受けた企業に対し、事業年度または暦年の終了後、決算書等で達成状況を確認する。
未達成の場合はその後の国の調達において、入札時に加点する割合よりも大きく減点。
賃上げ実績の確認の運用
賃上げの表明を行い受注した企業に対する賃上げ実績の確認は、
事業年度単位の賃上げを表明する場合は「法人事業概況説明書」
暦年単位の場合は「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」
これらから
給与等受給者一人当たりの給与総額により確認するのが標準的な方法として示されています。
賃上げ実績の確認において標準的な方法により賃上げ実績が確認できない場合であっても、
税理士又は公認会計士等の第三者により同等の賃上げ実績を確認することができると認められる書類に代えることができるとされています。
賃上げ加点 が認められる具体的な場合の例
標準的な方法だけでなく、企業の実情を踏まえ、継続雇用している従業員のみの基本給や所定内賃金などにより評価することもできます。
以下、具体例が国土交通省から示されています。一部引用します。
- 継続雇用している給与等受給者への支給額で評価
⇒ベテラン従業員等が退職し、新卒採用等で雇用を確保することで給与総額が減少する場合等に対応 - 定年退職者の再雇用や育児休暇や介護休暇の取得者など給与水準が変わる者を除いて評価
⇒雇用確保やワークライフバランス確保の取組に対応 - 計画的に超過勤務を減らしている場合、超過勤務手当等を除いて評価
⇒働き方改革の推進、時間外労働規制の令和6年4月からの適用に対応 - 災害時の超過勤務や一時雇用、業績に応じ支給する一時金や賞与等を除いて評価
⇒災害等による業績の変動等の企業がコントロールできない変動要因に対応
賃上げ加点 措置 についてよくある質問
賃上げの対象は、建設関係の従業員のみで良いのか?
会社全体を対象とした賃上げが主旨であり、会社全体の賃上げの必要があります。
賃上げの対象は下請け企業も含みますか?
元請けの企業が対象であって、下請け企業は対象外です。
複数年契約の場合、賃上げの表明や実績確認の時期はどのように考えるのか?
複数年契約の工事等であっても、入札時点で表明された年、または年度の賃上げのみ確認することになります。
2年目以降の賃上げに関する表明は必要なく、2年目以降に賃上げを実施しなかったことによる減点等はありません。
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