コロナウィルスの影響で民間工事は減少傾向ですが、着実に公共工事の発注量が増加するのが、建設業にとって頼もしいところです。 指名停止 になると どうなるのでしょう。
公共工事は、入札によって受注できるわけですが、法令を遵守する、コンプライアンスが絶対です。
指名停止 とは?
一定期間、国や地方自治体の競争入札参加資格を停止する懲罰的措置。
措置が実施された場合、指名停止措置、指名停止処分などと呼ばれます。
国や地方自治体が発注する公共事業、物品調達などの入札において、カルテルを結ぶ(談合)などによる公平な競争の妨害、または死亡者を出す重大な労働災害などを起こした企業の入札参加を認めないとするもの。
指名停止の要件と指名停止期間
標準的な国土交通省の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領にそって指名停止の措置要件と期間を整理します。
当該部局の所管する区域内において生じた事故等に基づく措置基準
(虚偽記載) 競争参加資格確認申請書、競争参加資格確認資料その他の入札前の調査資料に虚偽の記載をし、工事の請負契約の相手方として不適当で あると認められるとき。 |
1か月 以上6か月以内 |
(過失による粗雑工事) 発注工事で過失により工事を粗雑にしたと認められるとき。 |
1か月 以上6か月以内 |
(過失による粗雑工事) 一般工事で過失により工事を粗雑にしたと認められ、瑕疵が重大であるとき。 |
1か月 以上3か月以内 |
(契約違反) 発注工事の施工に当たり、契約に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき。 |
2週間 以上4か月以内 |
(安全管理措置の不適切により生じた公衆損害事故) 発注工事の施工に当たり、安全管理の措置が不 適切であったため、公衆に死亡者もしくは負傷者を生じさせ、または損害を与えたと認められるとき。 |
1か月 以上6か月以内 |
一般工事の施工に当たり、安全管理の措置が不適切であったため、公衆に死亡者もしくは負傷者を生じさせ、または損害を与えた場合において、当該事故が重大であると認められるとき。 | 1か月 以上3か月以内 |
(安全管理措置の不適切により生じた工事関係者事故) 発注工事の施工に当たり、安全管理の措置が不 適切であったため、工事関係者に死亡者または負傷者を生じさせたと認められるとき。 |
2週間 以上4か月以内 |
一般工事の施工に当たり、安全管理の措置が不 適切であったため、工事関係者に死亡者または負傷者を生じさせた場合において、当該事故が重大であると認められるとき。 | 2週間 以上2か月以内 |
贈賄の容疑により逮捕され、または逮捕を経ないで公訴を提起されたときの措置基準
当該部局の担当者に 代表者が | 4か月以上12か月以内 |
当該部局の担当者に 役員が | 3か月以上9か月以内 |
当該部局の担当者に 使用人が | 2か月以上6か月以内 |
当該部局の職員以外の当該機関職員に 代表者が | 4か月以上12か月以内 |
当該部局の職員以外の当該機関職員に 役員が | 2か月以上6か月以内 |
当該部局の職員以外の当該機関職員に 使用人が | 1か月以上3か月以内 |
当該部局の所管する区域内の他の公共機関の職員に 代表者が | 3か月以上9か月以内 |
当該部局の所管する区域内の他の公共機関の職員に 役員が | 2か月以上6か月以内 |
当該部局の所管する区域内の他の公共機関の職員に 使用人が | 1か月以上3か月以内 |
当該部局の所管する区域外の他の公共機関の職員に 代表者が | 3か月以上9か月以内 |
当該部局の所管する区域外の他の公共機関の職員に 役員が | 1か月以上3か月以内 |
不正行為等に基づく措置基準
(独占禁止法違反行為) 当該部局が所管する区域内において、業務に関し独占禁止法第3条または第8条第1項第1号に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められ るとき。 |
2か月以上9か月以内 |
当該部局の所属担当者が締結した請負契約に係る工事に関し、独占禁止法第3条または第8条第1項第1号に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき。 | 3か月以上12か月以内 |
当該部局が所管する区域外において、他の公共機関の職員が締結した請負契約に係る工事に関し、代表役員等または一般役員等が、独占禁止法第3条または第8条第1項第1号に違反し、刑事告発を受けたとき。 | 1か月以上9か月以内 |
(競売入札妨害または談合) 当該部局の所管する区域内の他の公共機関の職員が締結した 請負契約に係る工事に関し、一般役員等または使用人が競売入札妨害または談合の容疑により逮捕され、または逮捕を経ないで公訴を提起されたとき。 |
2か月以上12か月以内 |
当該部局の所管する区域外の他の公共機関の職員が締結した 請負契約に係る工事に関し、一般役員等または使用人が競売入札妨害または談合の容疑により逮捕され、または逮捕を経ないで公訴を提起されたとき。 |
1か月以上12か月以内 |
当該部局の所属担当者が締結した 請負契約に係る工事に関し、一般役員等または使用人が競売入札妨害または談合の容疑により逮捕され、または逮捕を経ないで公訴を提起されたとき。 |
3か月以上12か月以内 |
当該部局の所属担当者以外の当該機関の所属担当者が締結した 請負契約に係る工事に関し、一般役員等または使用人が競売入札妨害または談合の容疑により逮捕され、または逮捕を経ないで公訴を提起されたとき。 |
2か月以上12か月以内 |
他の公共機関の職員が締結した 請負契約に係る工事に関し、代表役員等が競売入札妨害または談合の容疑により逮捕され、または逮捕を経ないで公訴を提起されたとき。 |
3か月以上12か月以内 |
当該機関の所属担当者が締結した 請負契約に係る工事に関し、代表役員等が競売入札妨害または談合の容疑により逮捕され、または逮捕を経ないで公訴を提起されたとき。 |
4か月以上12か月以内 |
(建設業法違反行為) 当該部局が所管する区域内において、 建設業法の規定に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき。 |
1か月以上9か月以内 |
当該部局の所属担当者が締結した請負契約に係る工事に関し、 建設業法の規定に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき。 |
2か月以上9か月以内 |
当該部局の所属担当者以外の当該機関の所属担当者が締結した請負契約に係る工事に関し、 建設業法の規定に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき。 |
1か月以上9か月以内 |
(不正または不誠実な行為) 業務に関し不正または不誠実な行為をし、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき。 |
1か月以上9か月以内 |
代表役員等が禁固以上の刑に当たる犯罪の容疑により公訴を提起され、または禁錮以上の刑もしくは刑法の規定による罰金刑を宣告され、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき。 | 1か月以上9か月以内 |
生々しい談合事例もご紹介 : 2020年7月 東京都府中市
談合事件 事実概要
株式会社Fの代表取締役は、東京都府中市発注の公園拡張整備工事の入札に関し、府中市議から事前に入札情報の教示を受け、それらの情報をもとに落札し、公正な入札を妨害したとして、公契約関係競売等妨害容疑で警視庁に逮捕された。
指名停止 措置期間(追記あり)
令和2年7月22日~令和2年10月21日(3ヵ月)
指名停止 措置期間を1か月延長
当該業者の代表取締役が、府中市発注の公園工事において、市議から事前に入札情報を受けた見返りとして贈賄を行った疑いで再逮捕されたことから、
「官庁営繕部所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」第3第5項(指名停止の期間の特例)により、指名停止措置期間を1ヵ月延長し、4ヵ月に変更。
【2020.9.24追記】
指名停止 措置の範囲
官庁営繕部の発注する工事
指名停止 措置理由
「官庁営繕部所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」別表第2第10号に該当すると認められる
官庁営繕部所掌の工事請負契約に係る 指名停止 等の措置要領 別表第2第10号とは?
(公契約関係競売等妨害又は談合)
- 他の公共機関の職員が締結した請負契約に係る工事に関し、代表役員等が公契約関係競売等妨害又は談合の容疑により逮捕され、又は逮捕を経ないで公訴を提起されたとき
- 逮捕又は公訴を知った日から3ヵ月以上12ヵ月以内
参考記事「 入札参加 のいろは 入札参加資格申請 など 入札参加 の仕組み 」
新聞記事より:産経新聞 2020.6.9付
【ニュースルーペ】府中市官製談合逮捕1週間 市議ら執拗に漏洩迫ったか
https://www.sankei.com/affairs/news/200609/afr2006090033-n1.html
東京都府中市が発注した工事をめぐる官製談合事件では、長年付き合いのあった地元業者らの依頼を受けた現職市議2人がそれぞれ個別に市幹部に価格情報を漏らすよう執拗に迫っていた構図が明らかになってきた。一方、幹部がなぜ漏洩を決断したのか、明確な動機や背景には謎が残る。いずれの容疑者も説明には曖昧な点が多いといい、警視庁捜査2課は、幹部と市議らとのメールのやり取りなどの分析を進め、当時の詳しい経緯を調べる。
昨年9月、指名競争入札で府中市住吉町の土木会社「池田土木」がこの工事を落札した。同社代表取締役の池田伸夫容疑者(48)=公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕=は、市議の臼井克寿容疑者(44)=同=を通じ、当時市都市整備部長だった塚田雅司容疑者(56)=官製談合防止法違反容疑で逮捕=から価格情報を入手。まったく同額の約5400万円で落札した。
「完全に一致していたとは言語道断。腹立たしいことこの上ない」と語気を強めるのは、入札に参加した市内の別の業者。「この道路は、入札の約1年前に五輪のコースになると決まっていた。ただの道路工事とはやりがいも違うし、各社とも落札したい気持ちは強かった」と振り返る。
もう1件の工事も、ごく僅差での落札だった。
同市四谷の多摩川のほとりにある「四谷さくら公園」の拡張工事で、「府中植木」が昨年8月、最低制限価格約1億1000万円に対して、わずか9円差で落札に成功した。このときの価格情報は、塚田容疑者から市議の村木茂容疑者(73)=公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕=に渡り、同社代表取締役の田中善雄容疑者(75)=同=が落札する流れだった。
この公園では、平成30年に入札があった別内容の工事を池田土木が落札。差額は470円とわずかで、捜査2課は当時の経緯についても注目している。
市議2人はどんな人物だったのか。
自身の公式サイトなどによると、いずれも市議会自民党会派に所属。村木容疑者は15年に初当選した5期目で、かつて会派会長も経験。今年1月の市長選では高野律雄市長の選対本部長を務めた有力者だった。
一方の臼井容疑者も23年に初当選後、26、28年に市議会建設環境委員長、昨年度は会派会長を担っていた。浅間町の道路工事入札を4カ月後に控えた同5月には、会長就任にあたってSNS上で「市議会第1会派として他会派との連携も進め、充実した議会運営に努めてまいります」などとつづっていた。
「東京五輪の影響で予定価格内で落札されない工事が多くなっていた。順調に工事を進められるよう市議らに価格を漏らした」
市によると、2件の工事の落札結果が不自然だとして市側の内部調査が始まる直前の昨年9月、塚田容疑者が副市長に関与を認め、動機をこう打ち明けた。これまでの捜査2課の調べにも同趣旨の供述をし、容疑を認めている。
ただ、捜査関係者は「何かしら実質的な見返りがあった」とみており、供述内容を疑問視。市議2人についても、「昨日と今日で言っていることが違うような状態」といい、メールの分析などで慎重に裏付けを進めている。
市の内部調査では、現職やOBの複数の市幹部職員が、市議2人から入札情報を要求されたことがあると回答した。全員、「(価格情報は)伝えていない」としており、打診を断られた市議2人が塚田容疑者にすり寄った可能性もある。