事業承継の認可は、事業譲渡・合併・分割・相続のときに、建設業許可を途切れさせずに引き継ぐための制度です。事業譲渡・合併・分割は、承継の前に認可を受けます。相続は、死亡後30日以内に認可を申請します。東京都では、事前の認可の申請を、承継予定日の2か月前から25日前までに受け付けます。認可の手数料はかかりませんが、承継する側も許可の要件を満たしている必要があります。
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事業承継の認可制度とは
令和2年10月1日から、建設業許可の事業承継と相続の制度ができました(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P112)。以前は、事業譲渡や合併のときに前の許可を廃業し、新しく許可を申請する必要がありました。その間は、500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請け負えない空白期間が生じていました。
今は、事前に認可を受けると、承継の日に建設業者としての地位を引き継げます(e-Gov法令検索:建設業法第17条の2)。相続は、死亡後30日以内に申請すれば、申請への処分まで許可が続いているものとみなされます(同第17条の3)。認可できる形態を、次の表にまとめます。
| 形態 | 承継者 | 被承継者 | 申請の様式 |
|---|---|---|---|
| 事業譲渡(法人成りを含む) | 譲受人 | 譲渡人 | 譲渡認可申請書(様式第22号の5) |
| 合併 | 合併存続法人 | 合併消滅法人 | 合併認可申請書(様式第22号の7) |
| 分割 | 分割承継法人 | 分割被承継法人 | 分割認可申請書(様式第22号の8) |
| 相続(個人事業主) | 相続人 | 被相続人 | 相続認可申請書(様式第22号の10) |
形態と様式は、東京都の手引きにあります(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P113)。申請書の様式と添付書類は、e-Gov法令検索:建設業法施行規則第13条の2(譲渡・合併・分割)と第13条の3(相続)で決まっています。事業譲渡・分割は、建設業に関する事業の全部を承継する場合が対象です。
認可の申請先
申請先は、承継者と被承継者の許可の内容で決まります。東京都知事の認可を受けられるのは、全員が東京都知事許可の業者であるか、営業所が東京都内だけにある場合です(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P114)。場合ごとの申請先を、次の表にまとめます。
| 場合 | 申請先 |
|---|---|
| 全員が東京都知事許可、または営業所が東京都内だけ | 東京都知事 |
| どちらかが大臣許可、またはほかの道府県の許可 | 国土交通大臣(承継者の主たる営業所を管轄する地方整備局) |
| 東京都知事許可の業者が大臣の認可を受けた | その後すみやかに東京都知事へ届出 |
根拠はe-Gov法令検索:建設業法第17条の2・第17条の3です。
事業承継の期限
事業承継は承継予定日を基準に、相続は死亡の日を基準に期限が決まります。東京都知事の認可の期限を、次の表にまとめます。
| 項目 | 期限・期間 | 手引 |
|---|---|---|
| 事業承継の申請受付 | 承継予定日の2か月前から25日前まで(閉庁日を含まない) | P112 |
| 承継予定日の条件 | 双方の許可の有効期間が満了する日の30日前より前の日(原則) | P112 |
| 相続の申請受付 | 死亡後30日以内 | P112、P113 |
| 処理期間 | 申請日と承継予定日の間に、開庁日が25日必要 | P112 |
| 認可通知書 | 承継予定日の1週間程度前に郵送(許可通知書を兼ねる) | P115 |
| 承継後の有効期間(事業承継) | 承継の日の翌日から5年 | P115 |
| 承継後の有効期間(相続) | 被相続人の死亡の日から5年 | P115 |
承継後の有効期間は、承継の日の翌日から数えます(e-Gov法令検索:建設業法第17条の2第7項)。承継の日も許可は有効なので、認可通知書の有効期間は5年と1日になります(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P115)。
承継できない場合と、事前にしておく手続
許可業種の一部だけを承継することはできません。同じ業種で一般と特定がぶつかる場合も、そのままでは承継できません。事前に必要な手続を、次の表にまとめます。
| 場合 | 事前にすること | 根拠 |
|---|---|---|
| 同じ業種で、一方が一般・他方が特定 | どちらかの業種を事前に一部廃業 | 法第17条の2、東京都の手引P114 |
| 承継しない業種がある | その業種を事前に一部廃業 | 東京都の手引P114 |
| 被承継者の届出事項に変更がある | 認可申請の前に変更届を出す | 東京都の手引P116 |
| 営業所が都外にある無許可業者が関わる | 認可申請はできない。新規の許可か許可換えが必要 | 東京都の手引P114 |
事業承継の必要書類
認可の申請では、承継者が許可の要件を満たしていることと、承継の意思決定が適正であることを示します。承継の形態ごとの主な書類を、次の表にまとめます。
| 形態 | 承継方法等の書類 |
|---|---|
| 事業譲渡 | 契約書の写し、株主総会議事録・社員総会決議録・無限責任社員または総社員の同意書など |
| 合併 | 合併の方法・条件の書類、合併契約書の写し、合併比率説明書、株主総会議事録など |
| 分割 | 分割の方法・条件の書類、分割契約書(新設は分割計画書)の写し、分割比率説明書、株主総会議事録など |
| 相続 | 死亡日がわかる書類、続柄を証する書類(住民票・戸籍謄本など)、ほかの相続人全員の同意書 |
このほか、登記されていないことの証明書、身分証明書、経管・営業所技術者の確認資料なども出します(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P117)。経管・営業所技術者などの常勤性の確認資料は、承継後の後日提出です。承継直後の財務諸表、営業の沿革、登記事項証明書なども後日提出になります。
書類の一覧は、東京都の手引きのP116〜117にあります(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度))。
事業承継の費用
認可の手続に、手数料はかかりません(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P113)。当事務所の報酬は、承継の形態や業種の数によって変わるため、画面右下のチャットでお見積りします。許可の料金は料金表をご覧ください。
事業承継の手続の流れ
東京都知事の認可は、事前相談から始まります。承継方法等の書類を確定する前に相談するよう、手引きで案内されています(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P112)。流れを次の表にまとめます。
| 順番 | すること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 事前相談 | 承継方法等の書類を確定する前に。十分に時間をとる |
| 2 | 事前の手続 | 一部廃業・変更届を済ませる |
| 3 | 申請書の提出(窓口審査) | 承継予定日の2か月前から25日前まで |
| 4 | 受付・審査 | 疑義があれば補正資料や営業所調査 |
| 5 | 認可通知書が届く | 承継予定日の1週間程度前に郵送 |
| 6 | 承継 | 承継の日に地位を引き継ぐ |
| 7 | 後日提出 | 常勤性の資料、財務諸表などを期限内に |
大臣の認可は地方整備局で相談し、東京都知事許可の業者は認可後に東京都へ届け出ます(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P112、P114)。
事業承継の見積り・書類の確認もAIに
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事業承継の注意点
認可を受けても、承継日に承継が行われないと、認可が取り消されます。一次資料で確認できる注意点を、次の表にまとめます。
| 注意点 | 内容 | 手引 |
|---|---|---|
| 承継されるもの | 建設業者としての地位。監督処分や経営事項審査の結果も引き継ぐ | P112 |
| 承継されないもの | 罰則(法第45条〜第55条)や、個人に科された刑罰 | P112 |
| 個人事業主の法人成り | 定款の「発起人」との事業譲渡契約が必要。承継日を社会保険の資格取得日などにそろえる | P113 |
| 営業所技術者 | 承継予定日以降も、原則として業種ごとに同じ営業所技術者が常勤 | P115 |
| 決算報告 | 承継者は、被承継者の未提出の決算報告も出す | P114 |
| 取下げ | 承継予定日を過ぎると取り下げられない | P115 |
| 拒否・取消し | 承継が行われない、後日提出書類を出さない場合など | P115 |
| 相続しない場合 | 全部廃業届が必要 | P113 |
行政書士 岡高志の実務メモ
事業承継の認可を使ったご相談は、当事務所ではまだありません。
事業承継の認可申請では、申請の前段階から、所管庁との協議も必要です。合併や買収を検討される段階から、早めに画面右下のチャットからご相談ください。
関連する手続
次の記事もあわせてご覧ください。
建設業許可の事業承継のよくある質問
事業承継の認可を受けると、何が変わりますか?
承継の日に、被承継者の建設業者としての地位を引き継げます。前の許可を廃業して新規申請する必要がなく、許可のない空白期間が生じません。
認可の申請は、いつからできますか?
東京都では、承継予定日の2か月前から25日前まで(閉庁日を含まない)に受け付けます。その前に、十分な時間をとって事前相談をします。
相続の場合は、いつまでに申請しますか?
被相続人の死亡後30日以内です。申請すれば、認可の処分があるまで、相続人は許可を受けたものとみなされます。
認可に手数料はかかりますか?
認可の手続に手数料はかかりません。
個人事業主が法人成りするときも使えますか?
使えます。事業譲渡として扱い、定款の発起人との事業譲渡契約が必要です。承継日には法人が設立されている必要があります。
一部の業種だけを承継できますか?
できません。承継しない業種は、事前に一部廃業しておきます。
承継後の許可の有効期間は、どうなりますか?
事業承継は承継の日の翌日から5年、相続は被相続人の死亡の日から5年です。
経営事項審査の結果や監督処分も引き継ぎますか?
引き継ぎます。一方で、罰則や刑罰は、違反をした法人や個人に科されるもので、承継されません。
承継の日に承継ができなくなったら、どうなりますか?
認可の拒否や取消しになり、承継者と被承継者の許可は従前のものに戻ります。承継予定日を過ぎると、取下げはできません。
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このページの監修者
| 氏名 | 岡 高志(おか たかし) |
|---|---|
| 資格 | 行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号) |
| 登録の確認 | 登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます |
| 事務所 | 岡高志行政書士事務所(2011年開業) |
| 制度情報の時点 | 2026年10月時点の法令・手引きに基づきます |
| 詳しい経歴 | 運営者情報 |



