建築工事業は、総合的な企画・指導・調整のもとで建築物を建設する「建築一式工事」の業種で、建築確認が必要な新築・増改築を一式で請け負う場合が当たります。1件の請負代金が1,500万円以上(消費税込み)の工事を請け負うには許可が必要です。ただし、延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事は、金額にかかわらず許可はいりません。営業所技術者になる主な方法は、建築施工管理技士・建築士の資格か、10年以上の実務経験です。建築一式の許可だけでは、500万円以上の専門工事(内装工事など)を単独で請け負うことはできません。
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建築工事業とは
建築工事業は、建設業許可の29業種のひとつで、一式工事の2業種の一方です。許可の略号は「建」です。原則として元請の立場で、複数の下請業者によって施工される大規模で複雑な工事を指します。特定建設業の要件が厳しい指定建設業の7業種に入っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建設工事の内容 | 原則として元請業者の立場で、総合的な企画、指導、調整の下に建築物を建設する工事 |
| 工事の例 | 建築確認を必要とする新築及び増改築 |
| 許可の略号 | 建 |
| 指定建設業か | 指定建設業(特定建設業の営業所技術者は1級資格などに限られる) |
工事の内容と例は、国の区分と東京都の手引によります(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P2)。指定建設業の7業種は、建設業法施行令第5条の2で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行令)。
建築工事業と間違えやすい業種との違い
建築一式工事は、建物づくりを一式で請け負う場合の業種です。建物に関係する工事でも、専門工事だけを請け負う場合は、その専門工事の業種になります。国の区分の考え方と手引の記載を、次の表にまとめます。
| 工事の内容 | 該当する業種 | 考え方 |
|---|---|---|
| 建築確認が必要な新築・増改築を一式で請け負う | 建築一式工事 | 東京都の手引の例示による |
| 500万円以上の内装工事・屋根工事などだけを請け負う | 内装仕上工事、屋根工事など | 建築一式の許可では単独で請け負えない |
| ビルの外壁に固定された避難階段の設置 | 建築一式工事または鋼構造物工事 | 建築物の躯体の一部。消防施設工事ではない |
| 建築物を総合的な企画・指導・調整のもとで解体する | 建築一式工事 | それ以外の解体は解体工事 |
| 専門工事で造った目的物だけを解体する | その専門工事 | 例:内装だけの解体は内装仕上工事 |
根拠は、国土交通省の区分の考え方と東京都の手引P2・P4です(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度))。許可を受けた業種の工事に附帯する他の業種の工事(附帯工事)は、あわせて請け負うことができます(建設業法第4条。e-Gov法令検索:建設業法)。
建築工事業の営業所技術者になれる資格
建築工事業の営業所技術者(旧:専任技術者)には、次の資格の人がなれます。1級建築施工管理技士と1級建築士は、特定建設業の許可でも使えます。2級建築施工管理技士は、種別が「建築」のものに限られます。
| 資格 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 1級建築施工管理技士 | ○ | ○ |
| 2級建築施工管理技士(建築) | ○ | × |
| 1級建築士 | ○ | ○ |
| 2級建築士 | ○ | × |
資格の一覧は、建設業法施行規則第7条の3と東京都の手引の資格表によります(e-Gov法令検索:建設業法施行規則、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P78〜80)。2級建築施工管理技士の「躯体」「仕上げ」と、木造建築士は、建築工事業には使えません。第一次検定だけの合格者(技士補)も、建築工事業では営業所技術者になれません。
実務経験で建築工事業の営業所技術者になる場合
資格がなくても、建築一式工事の実務経験で営業所技術者になれます。必要な年数は、学歴によって短くなります。
| 学歴 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学・高等専門学校の指定学科を卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高等学校の指定学科を卒業 | 卒業後5年以上 |
| 上記以外 | 10年以上 |
年数は建設業法第7条第2号によります(e-Gov法令検索:建設業法)。令和5年7月から、施工管理技術検定の第一次検定の合格者を、指定学科の卒業者と同じに扱う見直しがありました。ただし指定建設業は対象外のため、建築工事業には使えません(手引P82)。建築工事業の指定学科は、次のとおりです。
| 業種 | 指定学科 |
|---|---|
| 建築工事業 | 建築学に関する学科、都市工学に関する学科 |
指定学科は、建設業法施行規則第1条の表で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行規則)。学科名が違う場合は、卒業証明書と履修証明書を持って窓口で相談できます。東京都では、判定に2週間から1か月ほどかかります(手引P77)。
建築一式工事の経験は、ほかの業種の実務経験に振り替えて使えます。建築一式工事とその業種を合わせて12年以上のうち、その業種の経験が8年を超えれば足ります(建設業法施行規則第7条の3、手引P66)。
| 振替えの組合せ | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 建築一式工事 → 大工工事、屋根工事、内装仕上工事 | 合計12年以上、うち振替え先の業種が8年超 |
| 建築一式工事 → ガラス工事、防水工事、熱絶縁工事 | 合計12年以上、うち振替え先の業種が8年超 |
| 建築一式工事 → 解体工事 | 合計12年以上、うち解体が8年超 |
許可がなかった期間の実務経験は、工事の契約書・注文書・請求書などと、入金を確かめられる資料で証明します(手引P67)。請求書で証明するときは、原則として1か月に1件で1か月分と数えます。件名や内訳書から、建築一式工事だと明確に分かることが必要です(手引P69)。
建築工事業で特定建設業許可を取る場合
元請として受けた工事で、下請に出す代金の合計が5,000万円以上になる場合は、特定建設業許可が必要です。建築工事業は指定建設業なので、特定営業所技術者になれる人が限られます。1級建築施工管理技士、1級建築士、または国土交通大臣が同等以上と認定した人です。
| 区分 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 必要になる場面 | 下請に出す代金が5,000万円未満、または元請にならない | 元請として、下請に出す代金の合計が5,000万円以上 |
| 営業所技術者になれる人 | 上の資格表の人、または学歴と実務経験を満たす人 | 1級建築施工管理技士、1級建築士、大臣が同等以上と認定した人 |
| 指導監督的実務経験で代える道 | — | 使えない(指定建設業のため) |
根拠は建設業法第15条第2号と、建設業法施行令第2条・第5条の2です(e-Gov法令検索:建設業法、e-Gov法令検索:建設業法施行令)。特定建設業許可には、財産的基礎の要件も厳しくなります。
建築工事業の許可のそのほかの要件
営業所技術者のほかに、4つの要件があります。経営業務の管理を適正に行う体制(常勤役員等)と、財産的基礎です。一般建設業では、自己資本500万円以上か、500万円以上の資金を調達できることが目安です。請負契約に関して不誠実でないこと、欠格要件に当たらないことも必要です。要件の全体は、建設業許可の総合ガイドでまとめています。
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建築工事業の許可申請の費用
東京都知事許可(一般)の新規申請を当事務所にご依頼いただく場合、費用は合計240,000円〜です。内訳は、行政書士報酬150,000円〜(消費税別)と、東京都に納める申請手数料90,000円です。業種追加・更新・特定建設業許可の料金は、料金表をご覧ください。
建築工事業の業界団体
業界の動向を知るには、業界団体の情報が役に立ちます。建築工事業に関係する主な団体です。
建築工事業と関連する業種
建設業許可の29業種の全体は、建設業許可の29業種の一覧で確認できます。建築工事業と区別が問題になりやすい業種の記事です。
- 内装仕上工事業(内装だけを請け負う場合。振替えができる)
- 屋根工事業(屋根だけを請け負う場合。振替えができる)
- 大工工事業(実務経験の振替えができる)
- 鋼構造物工事業(避難階段、鉄骨工事)
- 解体工事業(総合的でない解体工事)
- 土木工事業(土木一式工事)(もう一方の一式工事)
建築工事業の許可のよくある質問
建築一式工事の許可があれば、リフォーム工事も請け負えますか?
500万円以上の内装や屋根などの工事を単独で請け負う場合は、その専門工事業の許可が必要です。建築一式工事の許可だけでは、軽微でない専門工事を単独で請け負うことはできません。
延べ面積150㎡未満の木造住宅なら、許可はいりませんか?
建築一式工事で延べ面積150㎡未満の木造住宅を建てる工事なら、金額にかかわらず許可はいりません。木造住宅とは、主要構造部が木造で、延べ面積の2分の1以上を居住に使うものです。
1,500万円の基準は、消費税込みですか?
消費税込みで判断します。注文者が材料を出す場合は材料の市場価格を足し、工事を複数の契約に分けても、正当な理由がなければ合計額で判断します。
2級建築施工管理技士(仕上げ)で、建築工事業の営業所技術者になれますか?
なれません。建築工事業で使える2級建築施工管理技士は、種別が「建築」のものに限られます。「仕上げ」は、内装仕上工事業などで使えます。
木造建築士で、建築工事業の営業所技術者になれますか?
なれません。建築工事業で使える建築士は、1級建築士と2級建築士です。木造建築士は、大工工事業で使えます。
建築一式工事の実務経験は、ほかの業種に使えますか?
大工、屋根、内装仕上、ガラス、防水、熱絶縁、解体の7業種に振り替えられます。合わせて12年以上のうち、振替え先の業種の経験が8年を超える必要があります。
建築工事業で特定建設業許可が必要になるのは、どんなときですか?
元請として受けた建築一式工事で、下請に出す代金の合計が8,000万円以上になるときです。特定営業所技術者は、1級建築施工管理技士か1級建築士などに限られます。
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このページの監修者
| 氏名 | 岡 高志(おか たかし) |
|---|---|
| 資格 | 行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号) |
| 登録の確認 | 登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます |
| 事務所 | 岡高志行政書士事務所(2011年開業) |
| 制度情報の時点 | 2026年10月時点の法令・手引きに基づきます |
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