建設工事の請負契約は、工事内容や代金など法律で決められた事項を書面に書き、署名か記名押印をして交わさなければなりません。契約の内容を変えるときも、変更の内容を書面で交わします。不当に低い請負代金や、著しく短い工期での契約は禁止されています。令和7年12月の改正で、材料費や労務費を書いた見積書の決まりが加わりました。相手の承諾があれば、電子契約でも交わせます。
この契約書で、法律の決まりを満たしている?
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契約書に書かなければならない事項
請負契約の当事者は、契約を結ぶときに、次の事項を書面に書き、署名か記名押印をして相互に交付します(e-Gov法令検索:建設業法第19条第1項)。書かなければならない事項を、次の表にまとめます。
| 号 | 書く事項 |
|---|---|
| 1 | 工事内容 |
| 2 | 請負代金の額 |
| 3 | 工事着手の時期と工事完成の時期 |
| 4 | 工事を施工しない日・時間帯の定めをするときは、その内容 |
| 5 | 前金払・出来形部分への支払の定めをするときは、その支払の時期と方法 |
| 6 | 設計変更や工事の中止などの申出があった場合の、工期・代金の変更や損害の負担と算定方法 |
| 7 | 天災など不可抗力による工期の変更や損害の負担と算定方法 |
| 8 | 価格等の変動・変更にもとづく工事内容や請負代金の額の変更と算定方法 |
| 9 | 第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担 |
| 10 | 注文者が資材を提供したり機械を貸したりするときは、その内容と方法 |
| 11 | 注文者が完成を確かめる検査の時期と方法、引渡しの時期 |
| 12 | 工事完成後の請負代金の支払の時期と方法 |
| 13 | 契約不適合責任や、そのための保証保険などの定めをするときは、その内容 |
| 14 | 履行の遅れなどの場合の遅延利息・違約金などの損害金 |
| 15 | 契約に関する紛争の解決方法 |
| 16 | そのほか国土交通省令で定める事項 |
契約の内容を変えるときは、変更の内容を書面に書き、署名か記名押印をして交わします(同条第2項)。相手の承諾を得れば、書面の代わりに電子契約でも交わせます(同条第3項)。
見積りのルール
契約の前の見積りにも、決まりがあります。建設業者と注文者のそれぞれの決まりを、次の表にまとめます(e-Gov法令検索:建設業法第20条)。
| 対象 | 決まり |
|---|---|
| 建設業者 | 材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの作業・準備の日数を書いた見積書(材料費等記載見積書)を作るよう努める |
| 建設業者 | 見積書の材料費等の額は、通常必要な額を著しく下回ってはならない |
| 注文者 | 契約や入札の前に、工事内容などをできる限り具体的に示し、見積りに必要な期間を設ける |
| 注文者 | 見積書の内容を考慮するよう努める。材料費等を著しく下回る額への変更を求めてはならない |
見積りの期間は、施行令で決まっています。工事1件の予定価格ごとの期間を、次の表にまとめます(e-Gov法令検索:建設業法施行令第5条の9)。
| 予定価格 | 見積期間 |
|---|---|
| 500万円未満 | 1日以上 |
| 500万円以上5,000万円未満 | 10日以上(やむを得ない事情があれば5日以内に限り短縮可) |
| 5,000万円以上 | 15日以上(やむを得ない事情があれば5日以内に限り短縮可) |
契約の内容で禁止されていること
注文者と建設業者のどちらにも、守るべき禁止事項があります。主なものを、次の表にまとめます。
| 禁止されていること | 対象 | 根拠 |
|---|---|---|
| 取引上の地位を不当に利用して、通常必要な原価に満たない請負代金で契約する | 注文者 | 建設業法第19条の3第1項 |
| 正当な理由なく、通常必要な原価に満たない請負代金で契約する | 建設業者 | 建設業法第19条の3第2項 |
| 契約後に、地位を不当に利用して資材や購入先を指定し、購入させて利益を害する | 注文者 | 建設業法第19条の4 |
| 通常必要な期間に比べて、著しく短い工期で契約する | 注文者・建設業者 | 建設業法第19条の5 |
違反した発注者には、許可行政庁が勧告することがあります(e-Gov法令検索:建設業法第19条の6)。著しく短い工期での勧告の対象は、請負代金が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の契約です(e-Gov法令検索:建設業法施行令第5条の8)。勧告に従わない発注者は、その旨を公表されることがあります。建設業者の違反は、指示処分などの監督処分の対象です(国土交通省:建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準(令和8年10月1日改正)P5〜6)。
工期や代金に影響する事情の通知
契約の前に、工期や代金に影響しそうな事情があれば、相手に知らせる決まりがあります。内容を、次の表にまとめます(e-Gov法令検索:建設業法第20条の2)。
| 対象 | 知らせること | そのあと |
|---|---|---|
| 注文者 | 地盤の沈下など、工期や代金に影響するおそれのある事象 | - |
| 建設業者 | 主要な資材の供給の著しい減少や価格の高騰など | 事象が起きたら、工期・工事内容・代金の変更の協議を申し出られる |
建設業者から協議の申出を受けた注文者は、正当な理由がある場合を除き、誠実に協議に応じるよう努めます(同条第4項)。この協議は、契約書の第7号・第8号の定めにしたがって行います。
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契約書の印紙税
建設工事の請負契約書は、印紙税の課税文書です。令和9年3月31日までに作る、契約金額100万円超の契約書は、税額が軽くなっています(国税庁:建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置)。主な税額を、次の表にまとめます。
| 契約金額 | 軽減後の税額 |
|---|---|
| 100万円超〜200万円以下 | 200円 |
| 200万円超〜300万円以下 | 500円 |
| 300万円超〜500万円以下 | 1千円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 5千円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 6万円 |
100万円以下の契約書は軽減の対象外で、税額は200円です。1万円未満の契約書は非課税です(国税庁:建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置)。
請負契約と監督処分の記事
請負契約と、関わりの深い決まりについて、次の記事で説明しています。
建設工事の請負契約のよくある質問
請負契約は、口約束でもよいですか?
よくありません。建設業法第19条で決められた事項を書面に書き、署名か記名押印をして相互に交付する必要があります。
契約書には、何を書かなければなりませんか?
工事内容、請負代金の額、着手と完成の時期、支払の時期と方法、設計変更や天災の場合の扱い、紛争の解決方法など16項目です。
追加工事のときも、書面が必要ですか?
必要です。契約の内容を変えるときは、変更の内容を書面に書き、署名か記名押印をして交わします。
電子契約でもよいですか?
相手の承諾を得れば、書面の代わりに電子契約で交わせます。
見積りの期間は、どのくらい設けますか?
予定価格500万円未満は1日以上、500万円以上5,000万円未満は10日以上、5,000万円以上は15日以上です。
原価割れの代金で請け負ってもよいですか?
正当な理由がある場合を除き、通常必要な原価に満たない代金で契約してはいけません。注文者が地位を不当に利用することも禁止です。
資材の値上がりに備えて、契約でできることはありますか?
契約の前に価格高騰などのおそれを注文者に知らせておけば、事象が起きたときに代金などの変更の協議を申し出られます。
請負契約書の印紙税はいくらですか?
令和9年3月31日までは軽減されており、たとえば契約金額1,000万円超5,000万円以下なら1万円です。
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このページの監修者
| 氏名 | 岡 高志(おか たかし) |
|---|---|
| 資格 | 行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号) |
| 登録の確認 | 登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます |
| 事務所 | 岡高志行政書士事務所(2011年開業) |
| 制度情報の時点 | 2026年10月時点の法令・手引きに基づきます |
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