2024年12月をもって健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証などの新しい仕組みが導入されました。この変化は日常生活だけでなく、建設業界にも大きな影響を及ぼしています。特に、建設業許可申請において経営管理者や専任技術者の「常勤性」を確認する際、これまでのように健康保険証を使用することが難しくなり、新たな 常勤性確認書類 が必要となりました。
常勤性の確認は、建設業法に基づき許可要件を満たすための重要な手続きです。そのため、適切な書類の準備が求められ、手続きが複雑化することで、申請者にとって負担が増す可能性があります。
この記事では、健康保険証廃止に伴う常勤確認書類の変更内容と、それに基づく申請手続きのポイントを詳しく解説します。行政書士として、必要書類の収集や手続きのサポートを通じて申請者の負担を軽減し、スムーズな許可取得を支援する方法についても触れていきます。
常勤性確認書類 の 変更背景
建設業許可申請において、経営管理者や専任技術者の「常勤性」を証明することは、法令で定められた重要な要件の一つです。これまでは、健康保険証が常勤確認の主要な証明書類として活用されてきました。健康保険証には、個人の氏名、生年月日、所属する事業所名が記載されており、事業所に常勤していることを明確に示すための有力な証拠となっていました。
しかし、2024年12月以降、健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証や資格確認書といった新しい制度が導入されることになりました。この制度変更は、行政手続きにも大きな影響を及ぼし、従来の健康保険証に依存していた確認方法が再検討を余儀なくされています。
東京都都市整備局市街地建築部建設業課からも、健康保険証の新規発行終了に対応するため、新たな常勤性確認書類の基準が通知されました。この通知では、個人事業者および法人それぞれに適用される具体的な書類が示されており、マイナ保険証や資格確認書を活用することが求められています。
健康保険証の廃止は、申請者側にとって新たな書類準備の手間を生む一方で、不備を防ぐための事前確認や適切な書類選択が一層重要となります。これにより、申請がスムーズに進むかどうかは、準備段階の正確さにかかっているといえるでしょう。
個人事業者の場合の 常勤性確認書類
個人事業者が建設業許可申請を行う場合、経営管理者や専任技術者の「常勤性」を証明するためには、以下の2種類の書類を提出する必要があります。
1. 健康保険証 等
個人事業者の場合、常勤性の確認に使用できる健康保険証等には、以下の選択肢があります。
- マイナ保険証(表面)
健康保険証に代わる新しい制度で、マイナンバーカードを利用することで本人確認が可能となります。マイナ保険証は、常勤性の証明に適した選択肢の一つです。 - 資格確認書
健康保険証の代替として発行される書類で、保険資格を証明します。特にマイナ保険証の利用が難しい場合に有効です。 - 既存の健康保険証(有効期限内のもの)
健康保険証がまだ有効な場合、従来どおり証明書類として利用できます。ただし、期限切れに注意が必要です。
2. 直近決算の個人確定申告書
健康保険証等に加えて、直近の個人確定申告書の写しを提出する必要があります。具体的には以下の書類が求められます。
- 第一表:申告者の収入や控除などの概要が記載された書類。
- 第二表:所得内訳や配偶者控除、扶養控除などの詳細が記載された書類。
- 受信通知:税務署が確定申告書を受理したことを証明する通知。
これらの書類は、個人事業者が実際に収入を得ていることや事業を営んでいることを示す重要な証拠となります。また、受信通知の添付によって申告が正しく行われたことが裏付けられます。
注意点
個人事業者が常勤性を証明する際には、これらの書類が正確であることが重要です。不備があると申請が遅れるだけでなく、許可が下りない可能性もあるため、事前にしっかりと確認する必要があります。また、健康保険証等に記載される情報が最新であるかも確認しましょう。
法人の場合の 常勤性確認書類
法人が建設業許可申請を行う際、経営管理者や専任技術者の常勤性を証明するためには、個人事業者の場合と異なり、より詳細な書類が求められる場合があります。法人の場合、以下のいずれかを提出する必要があります。
1. 健康保険証 等
法人の場合も、健康保険証等は重要な確認書類として認められています。使用可能な書類には以下が含まれます。
- マイナ保険証(表面)
- 資格確認書
- 有効期限内の既存の健康保険証
これらの書類に事業所名が印字されていれば、追加書類は不要です。
2. 健康保険証等に事業所名が印字されていない場合の補足書類
健康保険証等に事業所名が記載されていない場合は、以下の補足書類のいずれかを追加で提出する必要があります。
- 健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書
- 70歳以上の場合:厚生年金保険 70歳以上被用者該当のお知らせ
- 資格取得確認及び標準報酬決定通知書
- 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)
- 法人用確定申告書(表紙、役員報酬明細、受信通知)
- 厚生年金保険の被保険者記録照会回答票
- 資格取得届やその通知(受付印付き)
- 健康保険組合等が発行する資格証明書(申請会社への在籍証明)
これらの補足書類は、事業所に所属し、そこで常勤していることを裏付けるためのものです。適切な書類を選択するために、提出前に書類の内容を確認することが必要です。
注意点
法人の場合、書類に不備があると申請が大幅に遅れるリスクがあります。特に、健康保険証等に事業所名が記載されていないケースでは、補足書類の準備が煩雑になりやすいため、慎重な対応が求められます。
行政書士が果たすべき役割とアドバイス
建設業許可申請における常勤確認書類の変更は、申請者にとって新たな課題となります。行政書士の役割は、これらの課題を解決し、申請をスムーズに進めることです。以下に具体的なサポート内容を示します。
1. 書類の収集と確認のサポート
行政書士は、必要書類のリストアップや不足書類の確認を通じて、申請者が適切な準備を行えるようサポートします。特に、法人の場合は補足書類の選定が重要であり、専門的な知識が求められます。
2. 書類作成と申請手続きの代行
申請者に代わって書類作成や行政機関への提出を行い、ミスや不備を防ぎます。これにより、手続きの負担を軽減し、許可取得のスピードを向上させます。
3. 最新情報の提供と法改正への対応
建設業法や関連制度の変更に迅速に対応し、申請者に適切なアドバイスを提供します。特に今回の健康保険証廃止のような変更は、専門家による情報提供が不可欠です。
結論
健康保険証の新規発行終了に伴い、建設業許可申請における常勤確認書類の要件が変更されました。この変更により、個人事業者や法人において新たな書類準備が必要となり、手続きが複雑化しています。
行政書士は、書類準備や手続きのサポートを通じて、申請者の負担を軽減し、スムーズな許可取得を実現する役割を果たします。適切な書類選定や最新情報への対応が重要であり、建設業許可申請を計画している方には、信頼できる行政書士への相談を強くおすすめします。
参考記事:建設業許可申請の進め方
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