建設工事請負契約 押さえておきたい注意点を8つ行政書士が解説

建設業許可申請 にあたっては、 建設工事請負契約書 を行政当局に見せなければいけない場面もあります。そうでない場面も含めて、契約保護の観点から、契約書を適正に作成して、 建設工事請負契約 の適正 を確保するようにしましょう。

1.  建設業におけるコンプライアンス

建設業法における目的

  • 建設業を営む者の資質の向上
  • 建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって
  • 建設工事の適切な施工を確保し
  • 発注者を保護するとともに
  • 建設業の健全な発達を促進し
  • もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする

適正な建設工事請負契約が締結・履行されるように注意が必要です。建設業界にとってコンプライアンス(法令遵守)は極めて重要です。

2. 契約の必須記載事項

契約保護の観点から、建設工事請負契約の記載事項についても法律の定めがあります。

建設工事請負契約の必須記載事項

  1. 工事内容
  2. 請負代金の額
  3. 完工の時期
  4. 工事をしない日、時間帯についての定め
  5. 支払いの時期
  6. 方法 設計変更などの場合の工期、請負代金の額の変更または損害の負担の算定方法
  7. 天災など不可抗力による変更の場合の工期、請負代金の額の変更または損害の負担の算定方法
  8. 価格等の変動に基づく請負代金の額、工事内容の変更
  9. 第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担
  10. 注文者からの資材を提供する場合の内容、方法
  11. 工事完成検査の時期、方法
  12. 完成後の代金支払い時期、方法
  13. 瑕疵担保責任などの内容
  14. 債務不履行時の損害金
  15. 契約に関する紛争の解決方法

建設業法改正の影響

4番目の「工事をしない日、時間帯についての定め」については、建設業法の改正により新しく規定されまして、今年2020年10月1日より適用されます。

3. 見積依頼

建設工事請負契約の適正が求められます。その前段として、見積を依頼することからはじまります。

適正な見積もり依頼

見積依頼は、工事内容、工期等の契約内容をできる限り具体的に提示し下請負人が見積もりを行うに足りる期間を設けなければならない。

建設工事請負契約の発注者の多くは、元請工事業者です。特定建設業の許可も取得されていることも多いでしょう。それだけ高いコンプライアンス(法令遵守)意識が求められます。

建設工事請負契約の前段である見積依頼から適正化が求められます。

 

建設生産システム合理化推進協議会のサイトで各業種ごとの施工条件・範囲リストを具体的に示されています。ご参照ください。

4. 見積提示

建設工事請負契約の適正が求められます。その前段として、見積の適正も求められます。

適正な見積書とは

工事の見積書は工事の種別ごとに経費の内訳を明らかにし、

工事の工程ごとの作業やその準備に必要な日数を明らかにする見積もりの努力義務が求められます。

 

「工事の種別」とは、切土、盛土、型枠工事、鉄筋工事などのことです。

「経費の内訳」とは、労務費、法定福利費、共通仮設費、現場管理費、機械経費などのことです。

建設業法改正の影響

「工事の工程ごとの作業やその準備に必要な日数を明らかにする見積もりの努力義務」

こちらは、建設業法の改正により新しく規定されまして、今年2020年10月1日より適用されます。

こちらは、工期が切羽詰まって現場労働者にしわ寄せがいかないようにとの働き方改革の目的で規定されたものです。

5. 契約書の作成、電子契約書もおススメ

契約保護の観点から、契約書を適正に作成して、 建設工事請負契約書の作成は必要不可欠です。

建設工事請負契約書の作成・締結

下請け契約の締結・契約変更にあたっては、

契約の内容を明示した適正な契約書を作成し

元請け下請けの双方が相互に交付しなければなりません。

電子契約書による印紙税の節約

建設業にもICT化の波はおしよせております。

建設工事請負契約書の作成は、書面でなく、電子ファイル化された契約書にかえることができます。

現時点での建設工事請負契約書の印紙税は軽減措置があるものの
契約金額 1千万円~5千万円 ⇒ 1万円
契約金額 5千万円~1億円 ⇒ 3万円
契約金額 1億円~5億円   ⇒ 6万円
と、印紙税額も大きくなります。

電子契約書の導入もおすすめです。

追加工事等が発生・工期変更の場合は

追加工事等が発生した場合、または工期が変更となった場合は

着工前に変更契約を締結しなければなりません。

もちろん、書面もしくは電子書面であることが必要です。

6.  紳士的な契約を

適正な契約に、紳士的な取引関係は前提になります。

元請業者が優越的地位を振りかざすのは、時代に合っていません。

優越的地位の乱用の禁止

自己の取引上の地位を不当に利用し、

通常必要と認められる原価に満たない金額で

請負契約を締結してはならない。

契約締結後の優越的地位の乱用の禁止

下請契約の締結後も

自己の取引上の地位を不当に利用して、

使用資材等またはこれらの購入先を指定して

下請け人の利益を害してはならない。

建設業法改正の影響

  • 著しく短い工期の禁止
  • 工期や請負代金額に影響を及ぼす情報の提供

建設業法の改正により新しく規定されまして、今年2020年10月1日より適用されます。

 

7.  工事のやり直しと工期変更

適正な契約に、紳士的な取引関係は前提になります。

元請業者が優越的地位を振りかざしてしまうと、現場作業員にしわ寄せがいきます。

下請工事のやり直し

元請人が費用を全く負担することなく、

下請負人に対して工事のやり直しを求めることができるのは、

下請人の施工が契約書に明示された内容と異なる場合

または

下請け人の施工に瑕疵等がある場合に限られる。

工期変更禁止の努力義務

建設工事の請負契約の当事者である元請人と下請負人は、

当初契約の締結に当たって適正な工期を設定し、

元請負人は工程管理を適正に行い、

できる限り工期に変更が生じないよう努めなければならない。

もちろん、これは努力義務ですので、適切に工程管理していたのに工期変更が生じる場合はやむをえません。

8. 公共工事

公共工事の入札及び契約については、その公共性に鑑みさらに適正が求められます。

そうした意味で、公共工事に参加してる事業者は適正な事業者だといえましょう。

公共工事の入札及び契約の適正化

特に、公共工事の入札及び契約については、

  • 「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(入札契約適正化法)
  • 「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(公共工事品質確保法)

といった法律で厳正に規定されております。

公共工事の入札契約をめぐっては、建設投資の減少や競争の激化がダンピング受注等を招き、地域の建設業者の疲弊や下請業者へのしわ寄せが生じています。
このため、現場の技能労働者の高齢化や若年入職者の減少が顕著となっており、このままでは、将来における公共工事の担い手が不足することが懸念されます。
また、社会資本の適切な維持管理などの重要性が増してきている中で、地域においては、災害対応を含む地域の維持管理を担う建設業者が不足し、地域の安全・安心の維持に支障が生じるおそれがあることが懸念されます。

建設工事請負契約 の確認は行政書士へ

適正な建設工事請負契約が締結・履行されるように注意が必要であるとともに、

働き方改革にも向き合わなければなりません。

建設業界にとってコンプライアンス(法令遵守)は極めて重要です。

普段から、経験のある行政書士と付き合っておくことも必要です。

日頃の、建設業決算変更届などのお手続から行政書士事務所へご依頼ください。

右下のチャットボットからもご相談いただけます。

建設業許認可 ドットコム 岡高志 行政書士事務所 東京都大田区

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