とび・土工工事業は、足場の組立て・重量物の運搬配置・鉄骨の組立て、くい工事、土工事、コンクリート工事など、基礎的・準備的な工事の業種です。1件の請負代金が500万円以上(消費税込み)の工事を請け負うには、とび・土工工事業の建設業許可が必要です。営業所技術者になる主な方法は、土木・建築・建設機械の施工管理技士、技術士、とびなどの技能士の資格か、10年以上の実務経験です。平成28年6月1日から、工作物の解体工事は解体工事業に分かれています。
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とび・土工工事業とは
とび・土工工事業は、建設業許可の29業種のひとつで、建設工事の名前は「とび・土工・コンクリート工事」です。許可の略号は「と」です。指定建設業ではないため、特定建設業許可でも実務経験の道が残っています。中身を、次の表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建設工事の内容 | イ 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て等を行う工事 ロ くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事 ハ 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事 ニ コンクリートにより工作物を築造する工事 ホ その他基礎的又は準備的工事 |
| 工事の例 | とび工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、くい工事、土工事、掘削工事、コンクリート工事、コンクリート圧送工事、地盤改良工事、土留め工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、外構工事、はつり工事、アンカー工事など |
| 許可の略号 | と |
| 指定建設業か | 指定建設業ではない |
工事の内容と例は、国の区分と東京都の手引によります(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P3)。指定建設業の7業種は、建設業法施行令第5条の2で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行令)。
とび・土工工事業と間違えやすい業種との違い
とび・土工工事業は範囲が広く、ほかの業種との区分が細かく決まっています。国の区分の考え方を、次の表にまとめます。
| 工事の内容 | 該当する業種 | 考え方 |
|---|---|---|
| 加工済みの鉄骨を現場で組み立てるだけ | とび・土工・コンクリート工事 | 製作・加工から一貫なら鋼構造物工事 |
| 根固めブロック・消波ブロック、プレキャストコンクリートの柱・梁などの据付け | とび・土工・コンクリート工事 | 「コンクリートブロック据付け工事」に当たる |
| 擬石の張付け、法面処理や擁壁としてのブロック積み | 石工事 | 「コンクリートブロック積み(張り)工事」に当たる |
| コンクリートブロックで建築物を建設する(エクステリアを含む) | タイル・れんが・ブロック工事 | 「コンクリートブロック積み(張り)工事」に当たる |
| 法面処理等のためのモルタル・種子の吹付け | とび・土工・コンクリート工事 | 建築物への吹付けは左官工事 |
| 道路標識・ガードレールの設置 | とび・土工・コンクリート工事 | 「道路付属物設置工事」に含まれる |
| トンネル防水など土木系の防水工事 | とび・土工・コンクリート工事 | 建築系の防水は防水工事 |
| 橋梁等を総合的に建設するプレストレストコンクリート構造物工事 | 土木一式工事 | 総合的に建設するものは土木一式 |
根拠は、国土交通省の区分の考え方と東京都の手引です(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、手引P2〜4)。許可を受けた業種の工事に附帯する他の業種の工事(附帯工事)は、あわせて請け負うことができます(建設業法第4条。e-Gov法令検索:建設業法)。
とび・土工工事業の営業所技術者になれる資格
とび・土工工事業の営業所技術者(旧:専任技術者)には、次の資格の人がなれます。特定建設業の許可でそのまま使えるのは、1級の土木・建築・建設機械の施工管理技士と技術士です。使える資格が多い業種です。
| 資格 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、1級建設機械施工管理技士 | ○ | ○ |
| 2級土木施工管理技士(土木・薬液注入)、2級建築施工管理技士(躯体)、2級建設機械施工管理技士 | ○ | △(指導監督的実務経験2年以上で可) |
| 1級造園施工管理技士、1級の第一次検定(土木・建築・造園施工管理)の合格者 | 合格後、とび・土工・コンクリート工事の実務経験3年以上 | △(指導監督的実務経験2年以上で可) |
| 2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)、2級建築施工管理技士(建築・仕上げ)、2級造園施工管理技士、2級の第一次検定(土木・建築・造園施工管理)の合格者 | 合格後、とび・土工・コンクリート工事の実務経験5年以上 | △(指導監督的実務経験2年以上で可) |
| 技術士(建設部門、農業部門「農業農村工学」、森林部門「森林土木」、水産部門「水産土木」、総合技術監理部門の同じ選択科目) | ○ | ○ |
| 技能検定1級(とび、型枠施工、コンクリート圧送施工、ウェルポイント施工) | ○ | △(指導監督的実務経験2年以上で可) |
| 技能検定2級(とび、型枠施工、コンクリート圧送施工、ウェルポイント施工) | 合格後、対応する工事(とび工事・コンクリート工事・土工工事)の実務経験3年以上 | △(指導監督的実務経験2年以上で可) |
| 登録基礎ぐい工事試験の合格者 | ○ | △(指導監督的実務経験2年以上で可) |
| 登録地すべり防止工事試験の合格者 | 合格後、土工工事の実務経験1年以上 | △(指導監督的実務経験2年以上で可) |
| 登録基幹技能者(登録鳶・土工基幹技能者など) | 講習修了証に、とび・土工工事業で主任技術者の要件を満たすと記載があるもの | △(指導監督的実務経験2年以上で可) |
資格の一覧は、建設業法施行規則第7条の3と東京都の手引の資格表によります(e-Gov法令検索:建設業法施行規則、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P78〜80)。技能検定2級の実務経験は、とびはとび工事、型枠施工とコンクリート圧送施工はコンクリート工事、ウェルポイント施工は土工工事に関するものに限ります。技能検定2級は、平成16年3月31日以前の合格者なら、合格後1年の実務経験で足ります(手引P78)。特定建設業の欄の「△」は、その資格だけでは足りないものの、実務経験を加えれば特定営業所技術者になれることを示します。必要なのは、元請としてこの業種の請負代金4,500万円以上の工事で、2年以上の指導監督的な実務経験です(e-Gov法令検索:建設業法第15条第2号ロ、e-Gov法令検索:建設業法施行令第5条の3)。
実務経験でとび・土工工事業の営業所技術者になる場合
資格がなくても、とび・土工・コンクリート工事の実務経験で営業所技術者になれます。必要な年数は、学歴や技術検定の合格によって短くなります。
| 学歴・合格した検定 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学・高等専門学校の指定学科を卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高等学校の指定学科を卒業 | 卒業後5年以上 |
| 土木・建築・造園施工管理の1級の第一次検定に合格 | 合格後3年以上 |
| 土木・建築・造園施工管理の2級の第一次検定に合格 | 合格後5年以上 |
| 上記以外 | 10年以上 |
年数は建設業法第7条第2号と建設業法施行規則第7条の3によります(e-Gov法令検索:建設業法、e-Gov法令検索:建設業法施行規則)。第一次検定の合格者の扱いは、令和5年7月から始まりました。合格発表の日以降の実務経験を数えます(手引P82)。とび・土工工事業の指定学科は、次のとおりです。
| 業種 | 指定学科 |
|---|---|
| とび・土工工事業 | 土木工学に関する学科、建築学に関する学科 |
指定学科は、建設業法施行規則第1条の表で決まっています。学科名が違う場合は、卒業証明書と履修証明書を持って窓口で相談できます。東京都では、判定に2週間から1か月ほどかかります(手引P77)。
土木一式工事や解体工事の経験がある人は、実務経験の振替えも使えます。合わせて12年以上の実務経験のうち、振替え先の業種の経験が8年を超えれば足ります(建設業法施行規則第7条の3、手引P66)。
| 振替えの組合せ | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 土木一式工事 → とび・土工・コンクリート工事 | 合計12年以上、うちとび・土工が8年超 |
| 解体工事 → とび・土工・コンクリート工事 | 合計12年以上、うちとび・土工が8年超 |
| とび・土工・コンクリート工事 → 解体工事 | 合計12年以上、うち解体が8年超(東京都では、とび・土工の経験は平成28年5月31日以前のものに限る) |
許可がなかった期間の実務経験は、工事の契約書・注文書・請求書などと、入金を確かめられる資料で証明します(手引P67)。請求書で証明するときは、原則として1か月に1件で1か月分と数えます。件名や内訳書から、とび・土工・コンクリート工事だと明確に分かることが必要です(手引P69)。
とび・土工工事業で特定建設業許可を取る場合
元請として受けた工事で、下請に出す代金の合計が5,000万円以上になる場合は、特定建設業許可が必要です。とび・土工工事業は指定建設業ではないので、1級資格がなくても道があります。一般建設業の要件に加えて、指導監督的実務経験が2年以上あれば、特定営業所技術者になれます。
| 特定営業所技術者になる方法 | 必要なもの |
|---|---|
| 1級資格 | 1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、1級建設機械施工管理技士、技術士 |
| 指導監督的実務経験 | 一般建設業の営業所技術者の要件+元請として請け負った4,500万円以上(消費税込み)のとび・土工・コンクリート工事で、2年以上の指導監督的な実務経験 |
| 大臣の認定 | 国土交通大臣が同等以上と認定した人 |
根拠は建設業法第15条第2号と、建設業法施行令第2条・第5条の3です(e-Gov法令検索:建設業法、e-Gov法令検索:建設業法施行令)。指導監督的実務経験は、元請の工事に限られ、下請の経験は数えません。工期の合計が2年(24か月)以上必要です(手引P68)。
とび・土工工事業の許可のそのほかの要件
営業所技術者のほかに、4つの要件があります。経営業務の管理を適正に行う体制(常勤役員等)と、財産的基礎です。一般建設業では、自己資本500万円以上か、500万円以上の資金を調達できることが目安です。請負契約に関して不誠実でないこと、欠格要件に当たらないことも必要です。要件の全体は、建設業許可の総合ガイドでまとめています。
とび・土工工事業と解体工事業の関係
平成28年6月1日から、工作物の解体を行う工事は、解体工事業という別の業種になりました(手引P4)。それ以降に500万円以上の解体工事を請け負うには、解体工事業の許可が必要です。
それより前のとび・土工工事業の期間の経験でも、解体工事の実務経験として認められるのは、工作物の解体を行う工事だけです(手引P82)。解体工事業の許可は、解体工事業の記事で解説しています。
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とび・土工工事業の許可申請の費用
東京都知事許可(一般)の新規申請を当事務所にご依頼いただく場合、費用は合計240,000円〜です。内訳は、行政書士報酬150,000円〜(消費税別)と、東京都に納める申請手数料90,000円です。業種追加・更新・特定建設業許可の料金は、料金表をご覧ください。
とび・土工工事業の完成工事高ランキング
業種のイメージをつかむために、完成工事高の多い会社を紹介します。東京都内に本店がある許可業者の、とび・土工工事業の完成工事高の上位10社です。建通新聞社が2020年6月時点で調べた経営事項審査の結果で、最新の数字ではありません。

第1位はライト工業の約710億円です。ゼネコンの該当部門もランキング上位に並びます。
とび・土工工事業の業界団体
業界の動向を知るには、業界団体の情報が役に立ちます。とび・土工工事業に関係する主な団体です。
- 一般社団法人 日本鳶工業連合会
- 一般社団法人 日本建設躯体工事業団体連合会
- 全国基礎工業協同組合連合会
- 一般社団法人 日本機械土工協会
- 一般社団法人 全国クレーン建設業協会
- 一般社団法人 全国特定法面保護協会
- 一般社団法人 日本アンカー協会
とび・土工工事業と関連する業種
建設業許可の29業種の全体は、建設業許可の29業種の一覧で確認できます。とび・土工工事業と区別が問題になりやすい業種の記事です。
- 鋼構造物工事業(鉄骨の製作・加工から組立てまで、屋外広告工事)
- 石工事業(擬石の張付け、擁壁のブロック積み)
- タイル・れんが・ブロック工事業(ブロックで建築物を建設する工事)
- 左官工事業(建築物へのモルタルの吹付け)
- 防水工事業(建築系の防水工事)
- 土木工事業(土木一式工事)(総合的に建設する工事。振替えができる)
- 解体工事業(平成28年6月から別の業種。振替えができる)
とび・土工工事業の許可のよくある質問
足場の組立てだけを請け負う場合も、許可が必要ですか?
足場等仮設工事は、とび・土工・コンクリート工事の例示に入っています。1件の請負代金が500万円以上(消費税込み)なら、とび・土工工事業の許可が必要です。
ガードレールや道路標識の設置は、何工事ですか?
とび・土工・コンクリート工事の「道路付属物設置工事」です。舗装工事と一緒に施工することが多いですが、舗装工事ではありません。
外構工事は、何工事になりますか?
外構工事は、とび・土工・コンクリート工事の例示に入っています。ただし、コンクリートブロックで建築物を建設する工事は、エクステリア工事として行う場合もタイル・れんが・ブロック工事です。
とび・土工工事業の許可で、解体工事を請け負えますか?
平成28年6月1日以降、500万円以上の解体工事を請け負うには、解体工事業の許可が必要です。とび・土工工事業の許可だけでは請け負えません。
2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)で、営業所技術者になれますか?
合格後に、とび・土工・コンクリート工事の実務経験が5年以上あればなれます。種別が「土木」か「薬液注入」の2級なら、実務経験なしでなれます。
とびの技能士で、営業所技術者になれますか?
1級のとび技能士なら、実務経験なしでなれます。2級の場合は、合格後にとび工事の実務経験が3年以上必要です。
特定建設業許可を取るには、1級資格が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。とび・土工工事業は指定建設業ではないため、一般の要件に加えて、元請で4,500万円以上の工事の指導監督的実務経験が2年以上あれば、特定営業所技術者になれます。
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このページの監修者
| 氏名 | 岡 高志(おか たかし) |
|---|---|
| 資格 | 行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号) |
| 登録の確認 | 登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます |
| 事務所 | 岡高志行政書士事務所(2011年開業) |
| 制度情報の時点 | 2026年10月時点の法令・手引きに基づきます |
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