電気工事業は、発電設備・変電設備・送配電設備・構内電気設備などを設置する工事の業種です。1件の請負代金が500万円以上(消費税込み)の電気工事を請け負うには、電気工事業の建設業許可が必要です。営業所技術者になる主な方法は、電気工事施工管理技士や電気工事士(第二種は実務経験3年も必要)などの資格です。電気工事は、資格を持たずに積んだ実務経験が原則として認められません。建設業許可とは別に、電気工事業法の登録(建設業者はみなし登録の届出)も必要です。
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電気工事業とは
電気工事業は、建設業許可の29業種のひとつで、電気設備を設置する工事を請け負う業種です。許可の略号は「電」です。特定建設業の要件が厳しい「指定建設業」の7業種に入っています。電気工事業の中身を、次の表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建設工事の内容 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事 |
| 工事の例 | 発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事(避雷針工事)、太陽光発電設備の設置工事(屋根工事以外のもの) |
| 許可の略号 | 電 |
| 指定建設業か | 指定建設業(特定建設業の営業所技術者は1級資格などに限られる) |
工事の内容と例は、国の区分と東京都の手引によります(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P3)。指定建設業の7業種は、建設業法施行令第5条の2で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行令)。
電気工事業と間違えやすい業種との違い
電気に関係する工事でも、電気工事業にならないものがあります。太陽光パネル、通信設備、消防設備、機械器具の設置は、特に迷いやすい工事です。国の区分の考え方を、次の表にまとめます。
| 工事の内容 | 該当する業種 | 考え方 |
|---|---|---|
| 太陽光発電設備の設置 | 電気工事 | 屋根に設置する場合は、屋根等の止水処理も含む |
| 屋根一体型の太陽光パネルの設置 | 屋根工事 | 屋根と一体のものは屋根工事になる |
| 有線・無線の電気通信設備、データ通信設備の設置 | 電気通信工事 | 電気通信設備は別の業種になる |
| 火災報知設備、非常警報設備の設置 | 消防施設工事 | 消防施設工事の例示に入っている |
| 電気工事と重なる機械器具の設置 | 原則として電気工事 | 専門の工事に区分し、どれにも当たらないものが機械器具設置工事 |
根拠は、国土交通省の区分の考え方です(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方)。許可を受けた業種の工事に附帯する他の業種の工事(附帯工事)は、あわせて請け負うことができます(建設業法第4条。e-Gov法令検索:建設業法)。
電気工事業の営業所技術者になれる資格
電気工事業の営業所技術者(旧:専任技術者)には、次の資格の人がなれます。特定建設業の許可で使えるのは、1級の電気工事施工管理技士と技術士だけです。電気工事士や電気主任技術者は、一般建設業の許可でだけ使えます。
| 資格 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 1級電気工事施工管理技士 | ○ | ○ |
| 2級電気工事施工管理技士 | ○ | × |
| 技術士(電気電子部門、建設部門、総合技術監理部門の電気電子・建設) | ○ | ○ |
| 第一種電気工事士 | ○ | × |
| 第二種電気工事士 | 免状の交付後、電気工事の実務経験3年以上 | × |
| 電気主任技術者(第一種・第二種・第三種) | 免状の交付後、電気工事の実務経験5年以上 | × |
| 建築設備士 | 資格の取得後、電気工事の実務経験1年以上 | × |
| 1級計装士(登録計装試験の合格者) | 合格後、電気工事の実務経験1年以上 | × |
| 登録電気工事基幹技能者・登録送電線工事基幹技能者・登録計装基幹技能者 | 講習修了証に、電気工事業で主任技術者の要件を満たすと記載があるもの | × |
資格の一覧は、建設業法施行規則第7条の3と東京都の手引の資格表によります(e-Gov法令検索:建設業法施行規則、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P78〜80)。施工管理技士は、第二次検定に合格した人を指します。第一次検定だけの合格者(技士補)は、電気工事業では営業所技術者になれません。
実務経験で電気工事業の営業所技術者になる場合
建設業法では、資格がなくても、学歴と実務経験の組み合わせで営業所技術者になれます。ただし電気工事は、電気工事士法により、資格を持たない人の実務経験が原則として認められません。そのため電気工事業では、実務経験だけで営業所技術者になる道は、実際にはほとんど使えません。法律上の年数は、次のとおりです。
| 学歴 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学・高等専門学校の指定学科を卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高等学校の指定学科を卒業 | 卒業後5年以上 |
| 上記以外 | 10年以上 |
年数は建設業法第7条第2号によります(e-Gov法令検索:建設業法)。無資格者の実務経験が原則認められないことは、東京都の手引に書かれています(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P67)。電気工事業の指定学科は、次の2つです。
| 業種 | 指定学科 |
|---|---|
| 電気工事業 | 電気工学に関する学科、電気通信工学に関する学科 |
指定学科は、建設業法施行規則第1条の表で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行規則)。学科名が違う場合は、卒業証明書と履修証明書を持って窓口で相談できます。東京都では、判定に2週間から1か月ほどかかります(手引P77)。
令和5年7月から、施工管理技術検定の第一次検定の合格者を、指定学科の卒業者と同じに扱う見直しがありました。ただし指定建設業は対象外のため、電気工事業には使えません(手引P82)。実務経験を書類で証明するときは、契約書などに加えて、電気工事業の登録証などの写しが必要です(手引P67)。
電気工事業で特定建設業許可を取る場合
元請として受けた工事で、下請に出す代金の合計が5,000万円以上になる場合は、特定建設業許可が必要です。電気工事業は指定建設業なので、特定営業所技術者になれる人が限られます。1級電気工事施工管理技士、技術士、または国土交通大臣が同等以上と認定した人です。
| 区分 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 必要になる場面 | 下請に出す代金が5,000万円未満、または元請にならない | 元請として、下請に出す代金の合計が5,000万円以上 |
| 営業所技術者になれる人 | 上の資格表の人、または学歴と実務経験を満たす人 | 1級電気工事施工管理技士、技術士、大臣が同等以上と認定した人 |
| 指導監督的実務経験で代える道 | — | 使えない(指定建設業のため) |
根拠は建設業法第15条第2号と、建設業法施行令第2条・第5条の2です(e-Gov法令検索:建設業法、e-Gov法令検索:建設業法施行令)。特定建設業許可には、財産的基礎の要件も厳しくなります。
電気工事業の許可のそのほかの要件
営業所技術者のほかに、4つの要件があります。経営業務の管理を適正に行う体制(常勤役員等)と、財産的基礎です。一般建設業では、自己資本500万円以上か、500万円以上の資金を調達できることが目安です。請負契約に関して不誠実でないこと、欠格要件に当たらないことも必要です。要件の全体は、建設業許可の総合ガイドでまとめています。
電気工事業の登録(電気工事業法)も必要です
電気工事業を営むには、建設業許可とは別に、電気工事業法による登録が必要です。建設業許可を持っている会社は、みなし登録電気工事業者として届出をします。手続の窓口は、東京都では環境局です(東京都環境局:電気工事業法に基づく電気工事業者の登録)。登録の詳しい手続は、電気工事業登録の記事で解説しています。
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電気工事業の許可申請の費用
東京都知事許可(一般)の新規申請を当事務所にご依頼いただく場合、費用は合計240,000円〜です。内訳は、行政書士報酬150,000円〜(消費税別)と、東京都に納める申請手数料90,000円です。業種追加・更新・特定建設業許可の料金は、料金表をご覧ください。
行政書士 岡高志の実務メモ
電気工事は、資格を持たずに積んだ実務経験が認められないため、これまで工事に携わってきた実務経験だけでは営業所技術者(旧:専任技術者)になれません。難しい試験をクリアした電気主任技術者や電気工事士の資格者を確保することが重要です。資格者を確保できずに、建設業許可を諦める事業者さんもいらっしゃいます。また、社内で電気主任技術者の資格の取得を奨励している会社もありますね。
電気工事業の完成工事高ランキング
業種のイメージをつかむために、完成工事高の多い会社を紹介します。東京都内に本店がある許可業者の、電気工事業の完成工事高の上位10社です。建通新聞社が2020年6月時点で調べた経営事項審査の結果で、最新の数字ではありません。

第1位は関電工の約3,792億円で、ダントツの専業ガリバーです。三菱電機や日立製作所のような大手電機メーカーも上位に並びます。
電気工事業の業界団体
業界の動向を知るには、業界団体の情報が役に立ちます。電気工事業に関係する主な団体です。
電気工事業と関連する業種
建設業許可の29業種の全体は、建設業許可の29業種の一覧で確認できます。電気工事業と区別が問題になりやすい業種の記事です。
- 電気通信工事業(有線・無線の通信設備、データ通信設備)
- 屋根工事業(屋根一体型の太陽光パネル)
- 消防施設工事業(火災報知設備、非常警報設備)
- 機械器具設置工事業(専門の工事に当たらない機械器具)
- 電気工事業登録(電気工事業法の登録の手続)
電気工事業の許可のよくある質問
第二種電気工事士の免状だけで営業所技術者になれますか?
免状だけではなれません。第二種電気工事士は、免状の交付を受けた後に、電気工事の実務経験が3年以上必要です。第一種電気工事士なら、実務経験なしで営業所技術者になれます。
資格がなくても、10年の実務経験で営業所技術者になれますか?
電気工事では、原則としてなれません。電気工事士法により、資格を持たない人の電気工事の実務経験は認められないためです。まず電気工事士などの資格を取ることを考えてください。
電気工事施工管理技士補(第一次検定の合格者)で営業所技術者になれますか?
電気工事業では、なれません。第一次検定の合格者を指定学科の卒業者と同じに扱う見直しは、指定建設業が対象外です。第二次検定に合格して、施工管理技士になる必要があります。
500万円未満の電気工事なら、許可も登録もいりませんか?
建設業許可はいりませんが、電気工事業法の登録は必要です。500万円未満は建設業許可が不要な軽微な工事ですが、電気工事業の登録は別の制度です。消費税込みの金額で判断し、注文者が材料を出す場合は材料の市場価格を足します。
太陽光パネルの設置は、何工事になりますか?
太陽光発電設備の設置は、電気工事です。屋根に設置する場合も、屋根等の止水処理を含めて電気工事になります。屋根材と一体になった太陽光パネルの設置は、屋根工事です。
建設業許可を取れば、電気工事業の登録はいりませんか?
登録の代わりに、届出が必要です。建設業許可を持つ会社が電気工事業を営む場合は、みなし登録電気工事業者として届出をします。東京都の窓口は環境局です。
電気工事業で特定建設業許可を取るには、どの資格が必要ですか?
1級電気工事施工管理技士か技術士(電気電子部門など)が必要です。電気工事業は指定建設業のため、指導監督的実務経験で代えることはできません。国土交通大臣が同等以上と認定した人も、特定営業所技術者になれます。
実務経験の証明には、どんな書類が必要ですか?
許可がなかった期間は、工事の契約書・注文書・請求書などと、入金を確かめられる資料が必要です。電気工事の場合は、さらに電気工事業の登録証などの写しを、証明する期間の分そろえます。東京都の手引の決まりです。
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このページの監修者
| 氏名 | 岡 高志(おか たかし) |
|---|---|
| 資格 | 行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号) |
| 登録の確認 | 登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます |
| 事務所 | 岡高志行政書士事務所(2011年開業) |
| 制度情報の時点 | 2026年10月時点の法令・手引きに基づきます |
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