現場代理人 とは?役割・常駐義務緩和のポイントを行政書士が解説!

現場代理人は、工事現場の運営や取締りを担う重要な存在です。しかし、近年の通信手段の発展や業界の合理化の要請により、 現場代理人 の「常駐義務」が緩和されるケースが増えています。

本記事では、現場代理人の基本的な定義や常駐義務緩和の背景と意義を解説し、よくある疑問にQ&A形式で答えます。さらに、これらの手続きをスムーズに進めるために行政書士が果たす役割についても触れ、事業者の皆さまが安心して建設業務を進められる情報を提供します。

現場代理人 の定義

現場代理人とは、請負契約に基づいて工事現場の運営や取締りを行い、受注者の権限を代理行使できる者を指します。

具体的には、以下のような特徴があります:

  • 工事現場に常駐し、現場での管理業務を遂行する。
  • 請負代金の受領や契約解除以外の権限を行使できる。
  • 資格要件は特に定められていませんが、工事管理に支障がない適切な者が選任されます。

例えば、監理技術者や専任技術者が現場代理人になることは可能ですが、それぞれの専任義務や職務との兼ね合いに注意が必要です。

参考:国土交通省「公共工事標準請負契約約款」

現場代理人 の常駐義務緩和の背景と意義

近年の通信手段の発達に伴い、現場代理人の常駐義務に関して緩和の措置が導入されました。これは、建設業界が厳しい経営環境下で施工体制を合理化する必要性に応じたものです。

現場代理人 常駐義務緩和の条件

工事現場に専任しなければならないこととされている監理技術者等について、情報通信技術の利用により工事現場の状況の確認ができる等の場合の、兼任が認められる要件を以下のとおり定められました。

  • 監理技術者は、請負代金が1億円未満(建築一式工事については2億円未満)の工事については2現場まで兼務可。
  • 営業所技術者は、請負代金が1億円未満(建築一式工事については2億円未満)の工事について1現場まで兼務可。
  • 工事現場間の距離が、一日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内
  • 各建設工事の下請次数が3次まで
  • 監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者の配置
    (土木一式工事又は建築一式工事の場合は、当該建設工事の種類に関する実務経験を1年以上有する者)
  • 工事現場の施工体制を確認できる情報通信技術の措置
  • 人員の配置を示す計画書の作成、現場据置及び保存(電磁的記録媒体による作成等を含む。)
  • 工事現場以外の場所から現場状況を確認するための情報通信機器の設置

あわせて営業所に専任しなければならない営業所技術者等についても、同様の措置により専任を要する現場技術者の兼務が可能となります。

参考:建設業法第26条第3項、建設業法施行令第28条、国土交通省2024.12.6、国土交通省2024.12.13 「建設業の価格転嫁、ICT活用、技術者専任合理化について、新制度の導入に際して詳細を定めました」

 

常駐義務を緩和するには、受注者から現場代理人に付与された権限の範囲や、工事の規模・内容等に応じた運営、取締り等の難易等を踏まえて発注者が判断すべきものですが、おおむね以下の条件を満たす必要があります:

  1. 契約締結後、現場事務所の設置、資機材の搬入又は仮設工事等が開始されるまでの期間や、工事の全部の施工を一時中止している期間等、工事現場の作業状況等に応じて、工事現場の運営に支障がないこと。
  2. 工事の規模・内容について、安全管理、工程管理等の工事現場の運営、取締り等が困難なものでないこと。(安全管理、工程管理等の内容にもよるが、例えば、主任技術者又は監理技術者の専任が必要とされない程度の規模・内容であること)
  3. 発注者又は監督員と常に携帯電話等で連絡をとれること。

参考:国土交通省「現場代理人の常駐義務緩和に関する適切な運用について

現場代理人についてのQ&A

以下に、現場代理人に関するよくある質問とその回答を示します。

  • Q1: 現場代理人はどのような人が選ばれるべきですか?
    A1: 資格要件はありませんが、工事現場の運営や受注者の代理行使に適した人を選任してください。
  • Q2: 現場代理人が複数の工事を兼任することは可能ですか?
    A2: 条件によって可能です。
    兼任する工事の件数が少数であること (工事の規模・内容、兼任する工事間の近接性等にもよるが、例えば2~3件程度)
    兼任する工事の現場間の距離(移動時間)が一定範囲内であること (工事の規模・内容、兼任する工事件数等にもよるが、例えば同一市町村内であるこ と)
    発注者又は監督員が求めた場合には、工事現場に速やかに向かう等の対応を行う こと
  • Q3: 社長が現場代理人になることはできますか?
    A3: 可能ですが、他の専任義務(専任技術者や経営業務管理責任者)と重複しないよう注意が必要です。
  • Q4: 現場代理人と主任技術者の兼務は可能ですか?
    A4: 同一工事に限り可能ですが、異なる工事の場合は不可です。

令和5年に改正された監理技術者制度運用マニュアルについての記事 もご参照ください。

 

行政書士の役割

現場代理人の選任や常駐義務緩和に伴う変更届などの手続きは、行政書士が専門的にサポートできます。具体的には、以下のような役割があります:

  1. 書類作成と提出
    発注者や地方自治体への届け出書類を正確に作成し、提出を代行します。
  2. 法令遵守の確認
    建設業法や地方自治体の規定を踏まえ、現場代理人の選任や義務緩和に関する適正な運用を支援します。
  3. 相談業務
    現場代理人や技術者に関する法的な疑問や運用に関する相談に応じます。

行政書士に依頼することで、煩雑な手続きが効率的になり、事業者が本来の業務に専念できる環境が整います。

建設業許可申請は当事務所にお任せください。

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