知事許可と大臣許可の違い|判断基準は営業所の所在地・費用・審査期間を比較

営業所が1つの都道府県の中だけにあれば知事許可、2つ以上の都道府県にあれば大臣許可です。工事をする場所ではなく、営業所の所在地で決まります。知事許可でも、営業所で結んだ契約の工事なら、他県で施工できます。新規の法定費用は、知事許可が手数料9万円、大臣許可が登録免許税15万円です。

うちの会社は知事許可? 大臣許可?

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知事許可と大臣許可の比較

知事許可と大臣許可の違いは、営業所の置き方と、申請先・費用・審査の期間です。工事ができる場所や、許可の中身(一般・特定、29業種)は同じです。比較を次の表にまとめます。

項目知事許可大臣許可
判断の基準営業所が1つの都道府県内だけ営業所が2つ以上の都道府県にある
申請先営業所のある都道府県(東京都は都市整備局)主たる営業所を管轄する地方整備局
新規の法定費用手数料9万円登録免許税15万円
更新・業種追加の法定費用5万円5万円
審査期間の目安東京都:受付後25日(閉庁日を除く)関東地方整備局:おおむね90日(補正の期間を除く)
工事ができる場所制限なし制限なし
有効期間5年5年

区分はe-Gov法令検索:建設業法第3条第1項で決まっています。申請先の地方整備局は、e-Gov法令検索:建設業法施行規則第30条によります。

東京都の費用と期間は、東京都の手引き(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P12、P15)にあります。大臣許可の費用と期間は、国土交通省関東地方整備局:建設業許可申請・変更の手引き(令和7年12月更新)P13とP18にあります。

判断の基準は営業所の所在地

営業所とは、本店、支店、常時請負契約を結ぶ事務所のことです(e-Gov法令検索:建設業法第3条第1項、e-Gov法令検索:建設業法施行令第1条)。見積り・入札・契約などを実際に行う事務所が当たります。営業所に当たるかどうかを、次の表にまとめます。

事務所の実態営業所に当たるか
見積り・入札・契約をしている本店・支店当たる
契約はしないが、ほかの営業所を指導監督している本店・支店当たる
登記上の本店にすぎないもの当たらない
建設業と関係のない支店当たらない
請求・入金などの事務だけの事務所、連絡所当たらない
工事現場の事務所・作業所当たらない

営業所の考え方は、東京都の手引き(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P5)と、国土交通省関東地方整備局:建設業許可申請・変更の手引き(令和7年12月更新)P4にあります。

営業所には、次のような要件もあります(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P5)。

  • 来客を迎え、契約などの業務を行っていること
  • 電話・机などを備え、他の会社や住居と区分されていること
  • 常勤役員等(経管)または令3条の使用人が常勤していること
  • 営業所技術者が専任で常勤していること
  • 事務所として使う権原があり、外から営業所とわかる表示があること

知事許可で他県の工事をする場合

知事許可でも、営業所で結んだ契約の工事なら、他県で施工できます。大臣許可と知事許可の区分は営業所の所在地によるもので、工事の区域に制限はありません。ケースごとの扱いを、次の表にまとめます。

ケース東京都知事許可のままでよいか
東京の本店で契約し、神奈川の現場で施工するよい
他県に工事現場の事務所を置くよい(営業所に当たらない)
他県に営業所を置き、許可業種の工事を契約する(軽微な工事を含む)大臣許可が必要
他県の営業所で、許可のない業種の軽微な工事だけを契約する大臣許可は不要
他県に営業所を移す・増やす許可換え新規の申請が必要

東京都の手引き(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P2)と、国土交通省関東地方整備局:建設業許可申請・変更の手引き(令和7年12月更新)P4で確認できます。許可を受けた業種は、届け出た営業所以外では、軽微な工事でも営業できません(同P4)。

営業所を増やす・移すときの手続

営業所の配置が変わって区分が変わるときは、許可換え新規の申請をします。申請先は、許可換え先の行政庁です(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P13)。新しい許可を受けると、前の許可は効力を失います(e-Gov法令検索:建設業法第9条)。ケースごとの手続を、次の表にまとめます。

変化必要な手続申請先
東京都知事許可の会社が、他県にも営業所を置く大臣許可への許可換え新規地方整備局
東京都知事許可の会社が、営業所を他県1か所だけに移すその県の知事許可への許可換え新規移転先の都道府県
大臣許可の会社が、営業所を東京都内だけにする東京都知事許可への許可換え新規東京都
東京都内で営業所を移す・増やす変更届(30日以内)東京都

許可換え新規の前に、今の行政庁へ必要な変更届を出しておきます(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P13)。許可換え新規の法定費用は、東京都知事許可が9万円、大臣許可が15万円です。

東京都の金額は手引き(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P12)、大臣許可は国土交通省関東地方整備局:建設業許可申請・変更の手引き(令和7年12月更新)P13にあります。都内での変更は、建設業許可の変更届の記事をご覧ください。

大臣許可の必要書類

大臣許可でも、書類の多くは知事許可と共通です。違いが出やすいのは、営業所ごとの資料と、提出の方法です。東京都知事許可と関東地方整備局の大臣許可を、次の表でくらべます。

項目東京都知事許可大臣許可(関東地方整備局)
提出の方法窓口、または電子申請(JCIP)原則郵送(持参も可)
営業所の写真都内の営業所ごとに、外観・入口・内部申請する営業所ごとに、外観・入口・内部・許可票(新規は許可票不要)
許可換え新規今の許可通知書の写し今の許可通知書の写し
許可通知主たる営業所へ郵送主たる営業所(本社)へ簡易書留で郵送

東京都は手引き(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P15、P18、P20、P74)で確認できます。大臣許可は、国土交通省関東地方整備局:建設業許可申請・変更の手引き(令和7年12月更新)P13、P17、P18にあります。新規申請の書類全体は、新規申請の必要書類の記事をご覧ください。

知事許可と大臣許可の費用

新規の法定費用は、大臣許可のほうが6万円高くなります。更新と業種追加は、どちらも5万円です。法定費用と当事務所の報酬を、次の表にまとめます。

申請知事許可大臣許可
新規(一般または特定)の法定費用手数料9万円登録免許税15万円
新規(一般と特定を同時)の法定費用18万円30万円
更新・業種追加の法定費用5万円5万円
新規の報酬(一般、消費税別)150,000円〜300,000円〜
新規の報酬(特定、消費税別)200,000円〜350,000円〜

大臣許可の登録免許税は、e-Gov法令検索:建設業法第10条にもとづく費用です。料金は料金表をご覧ください。

大臣許可の手続の流れ

関東地方整備局の大臣許可は、原則として郵送で申請します。審査には、おおむね90日程度かかります(国土交通省関東地方整備局:建設業許可申請・変更の手引き(令和7年12月更新)P18)。流れを次の表にまとめます。

順番することポイント
1営業所の配置を確かめる2つ以上の都道府県に営業所があるか
2営業所ごとの体制を確かめる令3条の使用人と営業所技術者が常勤しているか
3書類をそろえる営業所ごとの写真は、おおむね3か月以内に撮影
4登録免許税を納め、申請する主たる営業所を管轄する地方整備局へ
5審査おおむね90日(補正の期間を除く)
6許可通知主たる営業所へ簡易書留で郵送

関東地方整備局では、審査状況の問い合わせには回答できないとされています(国土交通省関東地方整備局:建設業許可申請・変更の手引き(令和7年12月更新)P18)。期間のくわしい説明は、許可が出るまでの期間の記事をご覧ください。

見積り・書類の確認もAIに

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誤解しやすい点

知事許可と大臣許可では、営業所と工事の場所を混同しやすくなります。一次資料で確認できる点を、次の表にまとめます。

誤解実際根拠
現場が他県なら大臣許可が必要営業所の所在地で決まる。現場の場所は関係ない法第3条第1項、関東地方整備局の手引P4
大臣許可のほうが大きな工事を請け負える工事の区域に制限はない。金額の区分は一般・特定による法第3条、関東地方整備局の手引P4〜5
登記上の本店が他県にあれば大臣許可登記上の本店にすぎないものは営業所ではない東京都の手引P5
大臣許可なら、どの事務所でも契約できる届け出た営業所以外では、許可業種の営業はできない関東地方整備局の手引P4
知事許可のまま他県に支店を出せる許可換え新規が必要東京都の手引P2

行政書士 岡高志の実務メモ

「現場が他県だから大臣許可が必要」と誤解している相談は、ありません。営業所が複数県に所在する場合、大臣許可が必要です。

一般的に、公共工事の入札で加点を得るなどのために、営業所を各地に設置していることが多いです。知事許可から大臣許可への許可換えも、こうした事情によるものです。

大臣許可の申請では、営業所の数だけ、営業所の確認と写真の添付が必要です。行政書士が全ての営業所を実地確認する必要はありません。お客様には、当方の指示に沿って、営業所を写真撮影していただきます。

もちろん、行政書士に現地の確認を依頼されるケースもございます。その場合は、出張日当を別途お見積もりいたします。

関連する手続

次の記事もあわせてご覧ください。

知事許可と大臣許可のよくある質問

東京の本店だけで、神奈川の現場の工事をするのに大臣許可は必要ですか?

必要ありません。東京都内の営業所で結んだ契約の工事なら、他県でも施工できます。区分は営業所の所在地で決まります。

営業所が2つとも東京都内なら、どちらの許可ですか?

営業所が1つの都道府県の中だけにあるので、東京都知事許可です。営業所の数ではなく、都道府県の数で決まります。

大臣許可と知事許可で、請け負える工事の金額は違いますか?

違いません。下請に出す金額による区分は、一般建設業と特定建設業の違いです。知事許可でも大臣許可でも、一般・特定のどちらも受けられます。

知事許可から大臣許可に切り替えるには、どうしますか?

許可換え新規の申請をします。申請先は、主たる営業所を管轄する地方整備局です。登録免許税は15万円です。

許可換えの申請中も、今の許可で営業できますか?

新しい許可を受けたときに、前の許可が効力を失います。ただし、他県の営業所では、大臣許可を受けるまで許可業種の営業はできません。

大臣許可の審査には、どのくらいかかりますか?

関東地方整備局では、申請から処分までおおむね90日程度です。補正にかかる期間は含みません。

大臣許可の申請先はどこですか?

主たる営業所の所在地を管轄する地方整備局です。関東地方整備局では、原則として郵送で提出します。

自宅の一部を営業所にできますか?

居住部分と適切に区別され、独立性が保たれていれば、営業所になりえます。都営住宅やUR賃貸住宅などの公的賃貸住宅は、原則として認められません。

他県の営業所にも、技術者は必要ですか?

必要です。営業所ごとに営業所技術者が専任で常勤し、令3条の使用人などが常勤していることが要件です。

大臣許可の15万円は、なぜ登録免許税なのですか?

建設業法第10条で、大臣許可の新規は登録免許税、更新などは許可手数料と決まっているためです。更新と業種追加は、大臣許可でも許可手数料5万円です。

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このページの監修者

氏名岡 高志(おか たかし)
資格行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号)
登録の確認登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます
事務所岡高志行政書士事務所(2011年開業)
制度情報の時点2026年9月時点の法令・手引きに基づきます
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