経営事項審査(経審)とは?対象・点数・有効期間・流れ・費用を行政書士が解説

経営事項審査(経審)は、公共工事を元請として請け負う建設業者が、必ず受けなければならない審査です。国や地方公共団体などが発注する、1件500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事が対象です。経営規模・技術力・社会性などと経営状況を点数にして、総合評定値(P点)が出ます。結果は決算日から1年7か月有効なので、毎年の決算ごとに受け直します。東京都知事許可の手数料は、1業種で11,000円です。

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経審が必要な工事

経審を受けなければならないのは、公共性のある工事を発注者から直接請け負う場合です(e-Gov法令検索:建設業法第27条の23)。対象の工事は、施行令で決まっています。対象と対象外を、次の表にまとめます。

工事経審
国・地方公共団体・公共法人などが発注する、1件500万円以上の工事(建築一式は1,500万円以上)必要
上の工事でも、災害などで放置すると著しい被害が出るおそれのある応急の工事不要
民間の工事不要
公共工事の下請不要(元請として直接請け負う場合に必要)

対象の工事はe-Gov法令検索:建設業法施行令第45条で決まっています。経審を受ける業種は、建設業の許可を受けている必要があります(東京都:経営事項審査申請説明書(令和8年度)P1)。

多くの発注者は、入札参加資格の条件に総合評定値を使います(東京都:経営事項審査申請説明書(令和8年度)P1)。入札参加資格の申請は、入札参加資格申請の記事で説明しています。

経審の点数の仕組み

経審は、経営規模(X)・技術力(Z)・その他の審査項目(W)と、経営状況(Y)を点数にします。それらから総合評定値(P点)を出します。項目とウェイトを、次の表にまとめます。

項目主な中身審査するところP点のウェイト
X1 完成工事高業種ごとの完成工事高許可行政庁0.25
X2 自己資本額・利益額自己資本額と、利払前税引前償却前利益の額許可行政庁0.15
Y 経営状況純支払利息比率、負債回転期間、自己資本比率など8つの指標登録経営状況分析機関0.2
Z 技術力技術職員数と元請完成工事高許可行政庁0.25
W その他の審査項目(社会性等)担い手の育成・確保、営業継続、防災活動、法令遵守、経理、研究開発、建設機械、ISOなど許可行政庁0.15

総合評定値の式は、P=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W です(e-Gov法令検索:建設業法施行規則第21条の3)。審査項目の内訳は、東京都の説明書にあります(東京都:経営事項審査申請説明書(令和8年度)P3)。

令和8年7月1日から、Wの審査基準が改正されました。「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の有無が新たに評価され、建設機械の保有状況の評価が改められました。社会保険の加入に関する評価項目はなくなりました(東京都都市整備局:経営事項審査の基準が改正されます)。

項目ごとに何で点数が決まるかは、経審の点数(P点)の仕組みの記事で説明しています。

経審の有効期間

経審の結果は、審査基準日(直前の決算日)から1年7か月の間、有効です。公共工事の契約を結ぶ日に、有効な結果通知書を持っている必要があります。期限の考え方を、次の表にまとめます。

項目内容根拠
審査基準日申請日の直前の決算日東京都の説明書P4
有効期間審査基準日から1年7か月施行規則第18条の2、東京都の説明書P3〜4
12月決算の例前年12月31日決算の結果通知書は、翌年7月31日まで有効東京都の説明書P4
申請できる期間次の決算日の前日まで(新しい決算日を過ぎると、前の決算での申請はできない)東京都の説明書P4
期限が切れたとき入札の名簿に載っていても、公共工事の請負契約を結べない東京都の説明書P4

根拠の条文はe-Gov法令検索:建設業法施行規則第18条の2です。前の結果通知書の期限と、次の結果通知書の交付の間をあけないよう、毎年の決算ごとに受審します(東京都:経営事項審査申請説明書(令和8年度)P4)。

経審の流れ

経審は、決算のあと、決算変更届・経営状況分析・経審の順に進みます。東京都知事許可の流れを、次の表にまとめます。

順番することポイント
1決算変更届(変更届出書(決算報告用))を出す事業年度の終了後4か月以内
2登録経営状況分析機関に経営状況分析を申請する分析機関は申請者が選べる。結果通知書(Y点)を受け取る
3経審の審査日を予約する東京都は予約システムで予約
4審査を受ける(経営規模等評価の申請・総合評定値の請求)経営状況分析結果通知書の原本が必要。手数料を納める
5結果通知書が郵送で届く東京都知事許可は標準22日(閉庁日を含まない)
6入札参加資格の申請をする発注者ごとに申請

流れと標準処理期間は、東京都の説明書のP1〜4にあります(東京都:経営事項審査申請説明書(令和8年度))。登録経営状況分析機関は、国土交通省:登録経営状況分析機関一覧で確認できます。

東京都知事許可の経審は、電子申請(JCIP)でもできます。電子申請の手数料はペイジーで納めます(東京都都市整備局:経営事項審査)。必要書類とくわしい手順は、経審の流れと必要書類の記事をご覧ください。

経審の必要書類(主なもの)

経審では、申請書類に加えて、内容を裏付ける確認資料を提示します。東京都知事許可で必ず出す申請書類を、次の表にまとめます。

書類内容
経営事項審査確認書手数料の納付などに使う
経営規模等評価申請書・総合評定値請求書申請の本体
工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高X1とZの元になる
その他の審査項目(社会性等)Wの元になる
技術職員名簿Zの元になる
経営状況分析結果通知書原本を提出(Yの結果)
直前3年の各事業年度における工事施工金額1部

必要書類の一覧は、東京都の説明書のP8にあります(東京都:経営事項審査申請説明書(令和8年度))。確認資料には、工事の契約書や技術職員の資格証などがあります。

経審の費用

経審の費用は、許可行政庁に納める手数料と、登録経営状況分析機関に払う分析の手数料に分かれます。法定の手数料と、当事務所の報酬を、次の表にまとめます。

費用金額根拠
経審の手数料(東京都知事許可)1業種で11,000円。業種が1つ増えるごとに2,500円東京都の説明書P6
経審の手数料(大臣許可)経営規模等評価8,100円+1業種2,300円、総合評定値400円+1業種200円施行令第46条
経営状況分析の手数料登録経営状況分析機関が定める金額東京都の説明書P6
当事務所の報酬:経営状況分析40,000円(消費税別)料金表
当事務所の報酬:経営事項審査90,000円(消費税別)料金表

料金のくわしい内訳は、料金表をご覧ください。

経審の流れ・費用の確認もAIに

行政書士 岡高志が育てたAIが、24時間いつでも無料でお答えします。経審が必要かの確認、費用の見積り、ご依頼の相談も、チャットでできます。

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経審の注意点

経審は、毎年の決算と期限に合わせて準備することが大切です。東京都の説明書とページで確認できる注意点を、次の表にまとめます。

注意点内容根拠
決算変更届が前提審査対象の事業年度の決算変更届を出してから受審する東京都の説明書P1・P4
経営状況分析結果通知書当日に原本がないと、審査が中止になることがある東京都の説明書P2
申請後の変更審査が終わり申請書が受理されたあとは、内容を変えられない東京都の説明書P7
虚偽の申請監督処分(営業停止など)の対象になる東京都の経審のページ
大臣許可東京都内に主たる営業所がある大臣許可の業者は、関東地方整備局で審査東京都の説明書P2
結果の公表(一財)建設業情報管理センターのサイトなどで公表される東京都の説明書P7

大臣許可の経審は、国土交通省関東地方整備局:経営事項審査についてで案内されています。

行政書士 岡高志の実務メモ

「点数を上げたい」というご相談

当事務所が経審に力を入れていると知って、「点数を上げたい」とご依頼くださる会社があります。経審の点数は、決算書の数字と、技術者や社会性の取り組みの積み重ねで決まります。ですから、まず決算書をしっかり読み解くことが出発点になります。

私は金融機関の出身で、財務の分析には自信を持っています。議員として公共工事に関わってきた経験と、行政書士としての実務の経験もあります。既存のお客様には、こうした経験をもとに点数の見通しを立て、次の決算に向けた手立てをご提案しています。

初めての経審でつまずきやすいところ

初めて経審を受ける会社で、いちばん多いのは、工事の契約書が整っていないことです。経審では、完成工事高の裏付けとして、契約書などの確認資料を求められます。契約書の整え方から、行政書士としてお手伝いします。

ほかにも、技術者がどの資格を持っているかを、会社が把握できていないことがあります。工事経歴書の書き方が、経審の決まりに合っていないこともよく見られます。どれも、審査の前に一つずつ整えていけば解決できることです。

有効期間の切れ目をつくらないために

経審の結果は、決算日から1年7か月で期限を迎えます。準備が遅れて、期限が切れてしまったというご相談も、実は少なくありません。私たちもすぐに準備に取りかかりますが、それでも間に合わず、入札に参加できない期間ができてしまうことがあります。

そうならないよう、決算が終わったら、早めに準備を始めることをおすすめします。当事務所は電子申請にも対応しており、窓口へ出向かずに手続を進めることができます。経審の前提となる経営状況分析の申請も代行しており、分析機関は(一財)建設業情報管理センターを利用しています。

経審・入札の記事

経審と入札について、次の記事で説明しています。

経営事項審査のよくある質問

経審は、どんな会社が受けるのですか?

国や地方公共団体などの公共工事を、元請として直接請け負おうとする建設業者です。対象は1件500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事です。

民間工事だけなら、経審は必要ですか?

必要ありません。経審は、公共性のある工事を発注者から直接請け負う場合に受ける審査です。

経審の結果は、いつまで有効ですか?

審査基準日(直前の決算日)から1年7か月です。たとえば12月決算なら、翌年の7月31日まで有効です。

総合評定値(P点)は、どう計算しますか?

P=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W の式で計算します。X1は完成工事高、Yは経営状況、Zは技術力、Wはその他の審査項目です。

経審には、どのくらいの期間がかかりますか?

東京都知事許可では、審査が終わってから結果通知書の交付まで、標準22日(閉庁日を含まない)です。その前に、決算変更届と経営状況分析を済ませておく必要があります。

経審の手数料はいくらですか?

東京都知事許可では、1業種で11,000円です。業種が1つ増えるごとに2,500円が加わります。経営状況分析の手数料は、分析機関が定めます。

経営状況分析とは何ですか?

経審のY点を出すための分析で、国土交通大臣に登録された登録経営状況分析機関が行います。分析機関は申請者が選べます。

決算変更届を出していなくても、経審を受けられますか?

審査の対象になる事業年度の決算変更届を、先に出しておく必要があります。東京都の説明書でも、決算変更届の提出が流れの最初になっています。

経審は電子申請でもできますか?

東京都知事許可の経審は、電子申請(JCIP)でもできます。電子申請の手数料は、ペイジーで納めます。

経審の結果は、ほかの人も見られますか?

公表されています。(一財)建設業情報管理センターのサイトと、東京都の都民情報ルームで見られます。

令和8年7月の改正で、何が変わりましたか?

W(その他の審査項目)が改正され、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の有無が新たに評価されるようになりました。社会保険の加入に関する評価項目はなくなりました。

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このページの監修者

氏名岡 高志(おか たかし)
資格行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号)
登録の確認登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます
事務所岡高志行政書士事務所(2011年開業)
制度情報の時点2026年10月時点の法令・手引きに基づきます
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