解体工事業は、工作物の解体を行う工事の業種で、平成28年6月1日から、とび・土工工事業から分かれて追加されました。1件の請負代金が500万円以上(消費税込み)の解体工事を請け負うには、解体工事業の建設業許可が必要です。営業所技術者になる主な方法は、土木・建築の施工管理技士、技術士(建設部門)、解体工事施工技士、とびの技能士などの資格か、10年以上の実務経験です。平成27年度以前に合格した施工管理技士と技術士は、解体工事の実務経験1年以上か、登録解体工事講習の受講が必要です。
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解体工事業とは
解体工事業は、建設業許可の29業種のうち、いちばん新しい業種です。許可の略号は「解」です。指定建設業ではないため、特定建設業許可でも実務経験の道が残っています。中身を、次の表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建設工事の内容 | 工作物の解体を行う工事 |
| 工事の例 | 工作物解体工事、建物を壊して更地にする工事 |
| 許可の略号 | 解 |
| 指定建設業か | 指定建設業ではない |
工事の内容と例は、国の区分と東京都の手引によります(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P4)。指定建設業の7業種は、建設業法施行令第5条の2で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行令)。
解体工事業と間違えやすい業種との違い
解体の工事でも、目的によっては解体工事業にならない場合があります。東京都の手引の記載を、次の表にまとめます。
| 工事の内容 | 該当する業種 | 考え方 |
|---|---|---|
| 工作物を解体する工事(建物を壊して更地にするなど) | 解体工事 | 解体工事の内容と例示による |
| 専門工事で造った目的物だけを解体する | その専門工事 | 例:内装だけの解体は内装仕上工事 |
| 総合的な企画・指導・調整のもとで土木工作物を解体する | 土木一式工事 | 一式工事に当たる |
| 総合的な企画・指導・調整のもとで建築物を解体する | 建築一式工事 | 一式工事に当たる |
根拠は、東京都の手引P4の注意書きです(東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度))。許可を受けた業種の工事に附帯する他の業種の工事(附帯工事)は、あわせて請け負うことができます(建設業法第4条。e-Gov法令検索:建設業法)。
解体工事業の営業所技術者になれる資格
解体工事業の営業所技術者(旧:専任技術者)には、次の資格の人がなれます。特定建設業の許可でそのまま使えるのは、1級の土木・建築施工管理技士と技術士です。ただし、合格した時期などによっては、実務経験か講習の受講が加わります。
| 資格 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士 | ○(平成27年度以前の合格者は、解体工事の実務経験1年以上か登録解体工事講習の受講が必要) | ○(同じ) |
| 2級土木施工管理技士(土木)、2級建築施工管理技士(建築・躯体) | ○(平成27年度以前の合格者は、同じ条件が必要) | × |
| 技術士(建設部門、総合技術監理部門の建設部門に係る選択科目) | ○(合格年度にかかわらず、解体工事の実務経験1年以上か登録解体工事講習の受講が必要) | ○(同じ) |
| 1級造園施工管理技士、1級の第一次検定(土木・建築・造園施工管理)の合格者 | 合格後、解体工事の実務経験3年以上 | × |
| 2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装・薬液注入)、2級建築施工管理技士(仕上げ)、2級造園施工管理技士、2級の第一次検定(土木・建築・造園施工管理)の合格者 | 合格後、解体工事の実務経験5年以上 | × |
| 解体工事施工技士(登録解体工事試験の合格者) | ○ | × |
| 技能検定1級(とび) | ○ | × |
| 技能検定2級(とび) | 合格後、解体工事の実務経験3年以上 | × |
| 登録解体基幹技能者 | 講習修了証に、解体工事業で主任技術者の要件を満たすと記載があるもの | × |
資格の一覧は、建設業法施行規則第7条の3と東京都の手引の資格表によります(e-Gov法令検索:建設業法施行規則、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P78〜80)。平成27年度以前の合格者の扱いと技術士の条件は、東京都の手引の資格表の注記によります(手引P79)。とびの技能士の実務経験は、解体工事に関するものに限ります(手引P78)。技能検定2級は、平成16年3月31日以前の合格者なら、合格後1年の実務経験で足ります(手引P78)。
実務経験で解体工事業の営業所技術者になる場合
資格がなくても、解体工事の実務経験で営業所技術者になれます。必要な年数は、学歴や技術検定の合格によって短くなります。
| 学歴・合格した検定 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学・高等専門学校の指定学科を卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高等学校の指定学科を卒業 | 卒業後5年以上 |
| 土木・建築・造園施工管理の1級の第一次検定に合格 | 合格後3年以上 |
| 土木・建築・造園施工管理の2級の第一次検定に合格 | 合格後5年以上 |
| 上記以外 | 10年以上 |
年数は建設業法第7条第2号と建設業法施行規則第7条の3によります(e-Gov法令検索:建設業法、e-Gov法令検索:建設業法施行規則)。第一次検定の合格者の扱いは、令和5年7月から始まりました。合格発表の日以降の実務経験を数えます(手引P82)。解体工事業の指定学科は、次のとおりです。
| 業種 | 指定学科 |
|---|---|
| 解体工事業 | 土木工学に関する学科、建築学に関する学科 |
指定学科は、建設業法施行規則第1条の表で決まっています。学科名が違う場合は、卒業証明書と履修証明書を持って窓口で相談できます。東京都では、判定に2週間から1か月ほどかかります(手引P77)。
土木一式工事・建築一式工事・とび・土工工事の経験がある人は、実務経験の振替えも使えます。合わせて12年以上の実務経験のうち、解体工事の経験が8年を超えれば足ります(建設業法施行規則第7条の3、手引P66)。
| 振替えの組合せ | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 土木一式工事 → 解体工事 | 合計12年以上、うち解体工事が8年超 |
| 建築一式工事 → 解体工事 | 合計12年以上、うち解体工事が8年超 |
| とび・土工・コンクリート工事 → 解体工事 | 合計12年以上、うち解体工事が8年超(東京都では、とび・土工の経験は平成28年5月31日以前のものに限る) |
許可がなかった期間の実務経験は、工事の契約書・注文書・請求書などと、入金を確かめられる資料で証明します。解体工事の場合は、さらに解体工事業者の登録通知書や、土木・建築・とび・土工工事業の許可通知書などの写しを、証明する全期間分そろえます(手引P67)。平成28年5月31日以前のとび・土工工事業の期間の経験でも、解体工事として数えられるのは工作物の解体を行う工事だけです(手引P82)。
解体工事業で特定建設業許可を取る場合
元請として受けた工事で、下請に出す代金の合計が5,000万円以上になる場合は、特定建設業許可が必要です。解体工事業は指定建設業ではないので、1級資格がなくても道があります。一般建設業の要件に加えて、指導監督的実務経験が2年以上あれば、特定営業所技術者になれます。
| 特定営業所技術者になる方法 | 必要なもの |
|---|---|
| 1級資格 | 1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、技術士(いずれも上の条件あり) |
| 指導監督的実務経験 | 一般建設業の営業所技術者の要件+元請として請け負った4,500万円以上(消費税込み)の解体工事で、2年以上の指導監督的な実務経験 |
| 大臣の認定 | 国土交通大臣が同等以上と認定した人 |
根拠は建設業法第15条第2号と、建設業法施行令第2条・第5条の3です(e-Gov法令検索:建設業法、e-Gov法令検索:建設業法施行令)。指導監督的実務経験は、元請の工事に限られ、下請の経験は数えません。工期の合計が2年(24か月)以上必要です(手引P68)。
解体工事業の許可のそのほかの要件
営業所技術者のほかに、4つの要件があります。経営業務の管理を適正に行う体制(常勤役員等)と、財産的基礎です。一般建設業では、自己資本500万円以上か、500万円以上の資金を調達できることが目安です。請負契約に関して不誠実でないこと、欠格要件に当たらないことも必要です。要件の全体は、建設業許可の総合ガイドでまとめています。
解体工事業の許可と建設リサイクル法の登録
解体工事業を営む人は、500万円未満の工事だけでも、建設リサイクル法により都道府県知事の登録を受ける必要があります。登録の有効期間は5年です。ただし、建設業許可のうち土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可を持つ人は、この登録はいりません(建設リサイクル法第21条。e-Gov法令検索:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)。
登録の手続は建設リサイクル法と解体工事業の記事で、解体工事で建設業許可が必要になる場面は解体工事の建設業許可の記事で解説しています。
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解体工事業の許可申請の費用
東京都知事許可(一般)の新規申請を当事務所にご依頼いただく場合、費用は合計240,000円〜です。内訳は、行政書士報酬150,000円〜(消費税別)と、東京都に納める申請手数料90,000円です。業種追加・更新・特定建設業許可の料金は、料金表をご覧ください。
解体工事業と関連する業種
建設業許可の29業種の全体は、建設業許可の29業種の一覧で確認できます。解体工事業と区別が問題になりやすい業種の記事と、解体工事の許可・登録の記事です。
- とび・土工工事業(平成28年5月までは解体工事を含んでいた。振替えができる)
- 建築工事業(建築一式工事)(総合的に建築物を解体する工事。振替えができる)
- 土木工事業(土木一式工事)(総合的に土木工作物を解体する工事。振替えができる)
- 解体工事の建設業許可(500万円以上の解体工事を請け負う場合)
- 建設リサイクル法と解体工事業(500万円未満でも必要な解体工事業の登録)
解体工事業の許可のよくある質問
500万円未満の解体工事なら、何の手続もいりませんか?
建設業許可はいりませんが、建設リサイクル法の解体工事業の登録が必要です。土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可を持っていれば、登録はいりません。
とび・土工工事業の許可で、解体工事を請け負えますか?
平成28年6月1日以降、500万円以上の解体工事を請け負うには、解体工事業の許可が必要です。とび・土工工事業の許可だけでは請け負えません。
平成27年度に合格した1級建築施工管理技士は、そのまま営業所技術者になれますか?
東京都の手引では、平成27年度以前の合格者は、解体工事の実務経験1年以上の証明か、登録解体工事講習の受講が必要とされています。
解体工事施工技士の資格で、営業所技術者になれますか?
なれます。登録解体工事試験(解体工事施工技士)の合格者は、実務経験なしで一般建設業の営業所技術者になれます。
内装だけを解体する工事は、解体工事ですか?
専門工事で造った目的物だけを解体する工事は、その専門工事に当たります。内装の目的物だけなら、内装仕上工事です。
建物を丸ごと解体する工事は、建築一式工事ですか?
総合的な企画・指導・調整のもとで建築物を解体する工事は、建築一式工事です。それ以外の工作物の解体は、解体工事になります。
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このページの監修者
| 氏名 | 岡 高志(おか たかし) |
|---|---|
| 資格 | 行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号) |
| 登録の確認 | 登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます |
| 事務所 | 岡高志行政書士事務所(2011年開業) |
| 制度情報の時点 | 2026年9月時点の法令・手引きに基づきます |
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