鋼構造物工事業とは?工事の例・営業所技術者の資格・許可の要件|建設業許可29業種

鋼構造物工事業は、形鋼や鋼板などの鋼材を加工・組立てして、鉄骨・橋梁・鉄塔・タンクなどの工作物をつくる工事の業種です。1件の請負代金が500万円以上(消費税込み)の工事を請け負うには、鋼構造物工事業の建設業許可が必要です。営業所技術者になる主な方法は、土木・建築の施工管理技士、1級建築士、技術士、鉄工の技能士などの資格か、10年以上の実務経験です。加工済みの鉄骨を現場で組み立てるだけの工事は、とび・土工工事業になります。

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鋼構造物工事業とは

鋼構造物工事業は、建設業許可の29業種のひとつで、鋼材で工作物をつくる工事を請け負う業種です。許可の略号は「鋼」です。特定建設業の要件が厳しい指定建設業の7業種に入っています。鋼構造物工事業の中身を、次の表にまとめます。

項目内容
建設工事の内容形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事
工事の例鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事
許可の略号鋼
指定建設業か指定建設業(特定建設業の営業所技術者は1級資格などに限られる)

工事の内容と例は、国の区分と東京都の手引によります(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P3)。指定建設業の7業種は、建設業法施行令第5条の2で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行令)。

鋼構造物工事業と間違えやすい業種との違い

鉄骨や看板の工事は、どこから請け負うかで業種が変わります。製作・加工から一貫して請け負うかどうかが分かれ目です。国の区分の考え方を、次の表にまとめます。

工事の内容該当する業種考え方
鉄骨の製作・加工から組立てまでを一貫して請け負う鋼構造物工事「鉄骨工事」に当たる
加工済みの鉄骨を現場で組み立てるだけとび・土工・コンクリート工事「鉄骨組立工事」に当たる
屋外広告物の製作・加工から設置までを現場で一貫して請け負う鋼構造物工事「屋外広告工事」に当たる
それ以外の屋外広告物の設置とび・土工・コンクリート工事「屋外広告物設置工事」に当たる
ビルの外壁に固定された避難階段の設置建築一式工事または鋼構造物工事建築物の躯体の一部。消防施設工事ではない

根拠は、国土交通省の区分の考え方と東京都の手引です(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、手引P2〜4)。許可を受けた業種の工事に附帯する他の業種の工事(附帯工事)は、あわせて請け負うことができます(建設業法第4条。e-Gov法令検索:建設業法)。

鋼構造物工事業の営業所技術者になれる資格

鋼構造物工事業の営業所技術者(旧:専任技術者)には、次の資格の人がなれます。1級の施工管理技士・1級建築士・技術士は、特定建設業の許可でも使えます。2級の施工管理技士は、種別に決まりがあります。

資格一般建設業特定建設業
1級土木施工管理技士○○
2級土木施工管理技士(土木)○×
1級建築施工管理技士○○
2級建築施工管理技士(躯体)○×
1級建築士○○
技術士(建設部門「鋼構造及びコンクリート」、総合技術監理部門の同じ選択科目)○○
技能検定1級(鉄工「製缶作業」「構造物鉄工作業」)○×
技能検定2級(同じ職種・作業)合格後、鋼構造物工事の実務経験3年以上×
登録橋梁基幹技能者講習修了証に、鋼構造物工事業で主任技術者の要件を満たすと記載があるもの×

資格の一覧は、建設業法施行規則第7条の3と東京都の手引の資格表によります(e-Gov法令検索:建設業法施行規則、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和7年度)P78〜80)。2級建築士は、鋼構造物工事業には使えません。第一次検定だけの合格者(技士補)も、鋼構造物工事業では営業所技術者になれません。技能検定2級は、平成16年3月31日以前の合格者なら、合格後1年の実務経験で足ります(手引P78)。

実務経験で鋼構造物工事業の営業所技術者になる場合

資格がなくても、鋼構造物工事の実務経験で営業所技術者になれます。必要な年数は、学歴によって短くなります。

学歴必要な実務経験
大学・高等専門学校の指定学科を卒業卒業後3年以上
高等学校の指定学科を卒業卒業後5年以上
上記以外10年以上

年数は建設業法第7条第2号によります(e-Gov法令検索:建設業法)。令和5年7月から、施工管理技術検定の第一次検定の合格者を、指定学科の卒業者と同じに扱う見直しがありました。ただし指定建設業は対象外のため、鋼構造物工事業には使えません(手引P82)。鋼構造物工事業の指定学科は、次のとおりです。

業種指定学科
鋼構造物工事業土木工学、建築学、機械工学に関する学科

指定学科は、建設業法施行規則第1条の表で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行規則)。学科名が違う場合は、卒業証明書と履修証明書を持って窓口で相談できます。東京都では、判定に2週間から1か月ほどかかります(手引P77)。

許可がなかった期間の実務経験は、工事の契約書・注文書・請求書などと、入金を確かめられる資料で証明します(手引P67)。請求書で証明するときは、原則として1か月に1件で1か月分と数えます。件名や内訳書から、鋼構造物工事だと明確に分かることが必要です(手引P69)。

鋼構造物工事業で特定建設業許可を取る場合

元請として受けた工事で、下請に出す代金の合計が5,000万円以上になる場合は、特定建設業許可が必要です。鋼構造物工事業は指定建設業なので、特定営業所技術者になれる人が限られます。1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、1級建築士、技術士、または国土交通大臣が同等以上と認定した人です。

区分一般建設業特定建設業
必要になる場面下請に出す代金が5,000万円未満、または元請にならない元請として、下請に出す代金の合計が5,000万円以上
営業所技術者になれる人上の資格表の人、または学歴と実務経験を満たす人1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、1級建築士、技術士、大臣が同等以上と認定した人
指導監督的実務経験で代える道—使えない(指定建設業のため)

根拠は建設業法第15条第2号と、建設業法施行令第2条・第5条の2です(e-Gov法令検索:建設業法、e-Gov法令検索:建設業法施行令)。特定建設業許可には、財産的基礎の要件も厳しくなります。

鋼構造物工事業の許可のそのほかの要件

営業所技術者のほかに、4つの要件があります。経営業務の管理を適正に行う体制(常勤役員等)と、財産的基礎です。一般建設業では、自己資本500万円以上か、500万円以上の資金を調達できることが目安です。請負契約に関して不誠実でないこと、欠格要件に当たらないことも必要です。要件の全体は、建設業許可の総合ガイドでまとめています。

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鋼構造物工事業の許可申請の費用

東京都知事許可(一般)の新規申請を当事務所にご依頼いただく場合、費用は合計240,000円〜です。内訳は、行政書士報酬150,000円〜(消費税別)と、東京都に納める申請手数料90,000円です。業種追加・更新・特定建設業許可の料金は、料金表をご覧ください。

鋼構造物工事業の完成工事高ランキング

業種のイメージをつかむために、完成工事高の多い会社を紹介します。東京都内に本店がある許可業者の、鋼構造物工事業の完成工事高の上位10社です。建通新聞社が2020年6月時点で調べた経営事項審査の結果で、最新の数字ではありません。

鋼構造物工事業の完成工事高の上位10社のグラフ。東京都内に本店がある許可業者、建通新聞社による2020年6月時点の調査。1位は宮地エンジニアリングの23,610百万円

第1位は宮地エンジニアリングの約236億円です。IHIグループが3社ベストテンに名を連ねていますので、実質的な最大手というべきでしょうか。

鋼構造物工事業の業界団体

業界の動向を知るには、業界団体の情報が役に立ちます。鋼構造物工事業に関係する主な団体です。

鋼構造物工事業と関連する業種

建設業許可の29業種の全体は、建設業許可の29業種の一覧で確認できます。鋼構造物工事業と区別が問題になりやすい業種の記事です。

鋼構造物工事業の許可のよくある質問

加工済みの鉄骨を組み立てるだけの工事は、何工事ですか?

とび・土工・コンクリート工事の「鉄骨組立工事」です。鉄骨の製作・加工から組立てまで一貫して請け負う場合は、鋼構造物工事の「鉄骨工事」になります。

看板(屋外広告物)の設置は、何工事ですか?

現場で屋外広告物の製作・加工から設置までを一貫して請け負う場合は、鋼構造物工事です。それ以外の設置工事は、とび・土工・コンクリート工事です。

2級建築士で、鋼構造物工事業の営業所技術者になれますか?

なれません。鋼構造物工事業で使える建築士は、1級建築士だけです。

2級建築施工管理技士(仕上げ)で、営業所技術者になれますか?

なれません。鋼構造物工事業で使える2級建築施工管理技士は、種別が「躯体」のものに限られます。2級土木施工管理技士は「土木」の種別が使えます。

鉄工の技能士で、営業所技術者になれますか?

1級の鉄工(製缶作業・構造物鉄工作業)なら、実務経験なしでなれます。2級の場合は、合格後に鋼構造物工事の実務経験が3年以上必要です。

鋼構造物工事業で特定建設業許可を取るには、どの資格が必要ですか?

1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士、1級建築士、技術士のいずれかが必要です。指定建設業のため、指導監督的実務経験で代えることはできません。

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このページの監修者

氏名岡 高志(おか たかし)
資格行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号)
登録の確認登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます
事務所岡高志行政書士事務所(2011年開業)
制度情報の時点2026年9月時点の法令・手引きに基づきます
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