土木工事業は、総合的な企画・指導・調整のもとで、橋梁・ダム・トンネル・道路などの土木工作物を建設する「土木一式工事」の業種です。1件の請負代金が500万円以上(消費税込み)の工事を請け負うには許可が必要で、建築一式工事の1,500万円の基準は使えません。営業所技術者になる主な方法は、土木施工管理技士・建設機械施工管理技士・技術士(建設部門など)の資格か、10年以上の実務経験です。土木一式の許可だけでは、500万円以上の専門工事(舗装工事など)を単独で請け負うことはできません。
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土木工事業とは
土木工事業は、建設業許可の29業種のひとつで、一式工事の2業種の一方です。許可の略号は「土」です。原則として元請の立場で、複数の下請業者によって施工される大規模で複雑な工事を指します。特定建設業の要件が厳しい指定建設業の7業種に入っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建設工事の内容 | 原則として元請業者の立場で、総合的な企画、指導、調整の下に土木工作物を建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む) |
| 工事の例 | 橋梁、ダム、空港、トンネル、高速道路、鉄道軌道(元請)、区画整理、道路・団地等造成(個人住宅の造成は含まない)、公道下の下水道(上水道は含まない)、農業・かんがい水道工事を一式として請け負うもの |
| 許可の略号 | 土 |
| 指定建設業か | 指定建設業(特定建設業の営業所技術者は1級資格などに限られる) |
工事の内容と例は、国の区分と東京都の手引によります(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P2)。指定建設業の7業種は、建設業法施行令第5条の2で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行令)。
土木工事業と間違えやすい業種との違い
土木一式工事は、工事を一式で請け負う場合の業種です。上下水道のように、場所や設備によって業種が分かれる工事もあります。国の区分の考え方を、次の表にまとめます。
| 工事の内容 | 該当する業種 | 考え方 |
|---|---|---|
| 公道下等の下水道の配管、下水処理場自体の敷地造成 | 土木一式工事 | 国の区分の考え方による |
| 家屋その他の施設の敷地内の配管、上水道等の配水小管の設置 | 管工事 | 国の区分の考え方による |
| 上水道等の取水・浄水・配水等の施設、下水処理場内の処理設備 | 水道施設工事 | 国の区分の考え方による |
| 農業用水道、かんがい用排水施設 | 土木一式工事 | 水道施設工事ではない |
| 橋梁等を総合的に建設するプレストレストコンクリート構造物工事 | 土木一式工事 | 総合的に建設するものは土木一式 |
| 500万円以上の舗装工事だけを請け負う | 舗装工事 | 土木一式の許可では単独で請け負えない |
根拠は、国土交通省の区分の考え方と東京都の手引P2の注意書きです(国土交通省:業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度))。許可を受けた業種の工事に附帯する他の業種の工事(附帯工事)は、あわせて請け負うことができます(建設業法第4条。e-Gov法令検索:建設業法)。
土木工事業の営業所技術者になれる資格
土木工事業の営業所技術者(旧:専任技術者)には、次の資格の人がなれます。1級の施工管理技士と技術士は、特定建設業の許可でも使えます。2級土木施工管理技士は、種別が「土木」のものに限られます。
| 資格 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 1級土木施工管理技士 | ○ | ○ |
| 2級土木施工管理技士(土木) | ○ | × |
| 1級建設機械施工管理技士 | ○ | ○ |
| 2級建設機械施工管理技士 | ○ | × |
| 技術士(建設部門、農業部門「農業農村工学」、森林部門「森林土木」、水産部門「水産土木」、総合技術監理部門の同じ選択科目) | ○ | ○ |
資格の一覧は、建設業法施行規則第7条の3と東京都の手引の資格表によります(e-Gov法令検索:建設業法施行規則、東京都:建設業許可申請・変更の手引(令和8年度)P78〜80)。施工管理技士は、第二次検定に合格した人を指します。第一次検定だけの合格者(技士補)は、土木工事業では営業所技術者になれません。
実務経験で土木工事業の営業所技術者になる場合
資格がなくても、土木一式工事の実務経験で営業所技術者になれます。必要な年数は、学歴によって短くなります。
| 学歴 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学・高等専門学校の指定学科を卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高等学校の指定学科を卒業 | 卒業後5年以上 |
| 上記以外 | 10年以上 |
年数は建設業法第7条第2号によります(e-Gov法令検索:建設業法)。令和5年7月から、施工管理技術検定の第一次検定の合格者を、指定学科の卒業者と同じに扱う見直しがありました。ただし指定建設業は対象外のため、土木工事業には使えません(手引P82)。土木工事業の指定学科は、次のとおりです。
| 業種 | 指定学科 |
|---|---|
| 土木工事業 | 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む)、都市工学、衛生工学、交通工学に関する学科 |
指定学科は、建設業法施行規則第1条の表で決まっています(e-Gov法令検索:建設業法施行規則)。学科名が違う場合は、卒業証明書と履修証明書を持って窓口で相談できます。東京都では、判定に2週間から1か月ほどかかります(手引P77)。
土木一式工事の経験は、ほかの業種の実務経験に振り替えて使えます。土木一式工事とその業種を合わせて12年以上のうち、その業種の経験が8年を超えれば足ります(建設業法施行規則第7条の3、手引P66)。
| 振替えの組合せ | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 土木一式工事 → とび・土工・コンクリート工事 | 合計12年以上、うちとび・土工が8年超 |
| 土木一式工事 → しゅんせつ工事 | 合計12年以上、うちしゅんせつが8年超 |
| 土木一式工事 → 水道施設工事 | 合計12年以上、うち水道施設が8年超 |
| 土木一式工事 → 解体工事 | 合計12年以上、うち解体が8年超 |
許可がなかった期間の実務経験は、工事の契約書・注文書・請求書などと、入金を確かめられる資料で証明します(手引P67)。請求書で証明するときは、原則として1か月に1件で1か月分と数えます。件名や内訳書から、土木一式工事だと明確に分かることが必要です(手引P69)。
土木工事業で特定建設業許可を取る場合
元請として受けた工事で、下請に出す代金の合計が5,000万円以上になる場合は、特定建設業許可が必要です。土木工事業は指定建設業なので、特定営業所技術者になれる人が限られます。1級土木施工管理技士、1級建設機械施工管理技士、技術士、または国土交通大臣が同等以上と認定した人です。
| 区分 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 必要になる場面 | 下請に出す代金が5,000万円未満、または元請にならない | 元請として、下請に出す代金の合計が5,000万円以上 |
| 営業所技術者になれる人 | 上の資格表の人、または学歴と実務経験を満たす人 | 1級土木施工管理技士、1級建設機械施工管理技士、技術士、大臣が同等以上と認定した人 |
| 指導監督的実務経験で代える道 | — | 使えない(指定建設業のため) |
根拠は建設業法第15条第2号と、建設業法施行令第2条・第5条の2です(e-Gov法令検索:建設業法、e-Gov法令検索:建設業法施行令)。特定建設業許可には、財産的基礎の要件も厳しくなります。
土木工事業の許可のそのほかの要件
営業所技術者のほかに、4つの要件があります。経営業務の管理を適正に行う体制(常勤役員等)と、財産的基礎です。一般建設業では、自己資本500万円以上か、500万円以上の資金を調達できることが目安です。請負契約に関して不誠実でないこと、欠格要件に当たらないことも必要です。要件の全体は、建設業許可の総合ガイドでまとめています。
要件を満たしているか、書類がそろうか確かめたい方へ
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土木工事業の許可申請の費用
東京都知事許可(一般)の新規申請を当事務所にご依頼いただく場合、費用は合計240,000円〜です。内訳は、行政書士報酬150,000円〜(消費税別)と、東京都に納める申請手数料90,000円です。業種追加・更新・特定建設業許可の料金は、料金表をご覧ください。
土木工事業の業界団体
業界の動向を知るには、業界団体の情報が役に立ちます。土木工事業に関係する主な団体です。
土木工事業と関連する業種
建設業許可の29業種の全体は、建設業許可の29業種の一覧で確認できます。土木工事業と区別が問題になりやすい業種の記事です。
- 舗装工事業(道路の舗装だけを請け負う場合)
- とび・土工工事業(土工事・コンクリート工事。実務経験の振替えができる)
- 管工事業(敷地内の配管、配水小管)
- 水道施設工事業(浄水・配水施設、下水処理設備。振替えができる)
- しゆんせつ工事業(実務経験の振替えができる)
- 建築工事業(建築一式工事)(もう一方の一式工事)
土木工事業の許可のよくある質問
土木一式工事の許可があれば、舗装工事も請け負えますか?
500万円以上の舗装工事を単独で請け負う場合は、舗装工事業の許可が必要です。土木一式工事の許可だけでは、軽微でない専門工事を単独で請け負うことはできません。
土木工事で許可がいらないのは、いくら未満ですか?
1件の請負代金が500万円未満(消費税込み)です。1,500万円の基準は建築一式工事だけのもので、土木一式工事には使えません。注文者が材料を出す場合は、その市場価格も足して判断します。
2級土木施工管理技士(薬液注入)で、土木工事業の営業所技術者になれますか?
なれません。土木工事業で使える2級土木施工管理技士は、種別が「土木」のものに限られます。「薬液注入」や「鋼構造物塗装」の種別は、ほかの業種で使える場合があります。
土木施工管理技士補(第一次検定の合格者)で、営業所技術者になれますか?
土木工事業では、なれません。第一次検定の合格者を指定学科の卒業者と同じに扱う見直しは、指定建設業が対象外です。第二次検定に合格する必要があります。
下水道の工事は、何工事になりますか?
公道下等の下水道の配管は土木一式工事です。家屋など敷地内の配管は管工事、下水処理場内の処理設備は水道施設工事です。
土木一式工事の実務経験は、ほかの業種に使えますか?
とび・土工、しゅんせつ、水道施設、解体の4業種に振り替えられます。合わせて12年以上のうち、振替え先の業種の経験が8年を超える必要があります。
土木工事業で特定建設業許可を取るには、どの資格が必要ですか?
1級土木施工管理技士、1級建設機械施工管理技士、技術士のいずれかが必要です。土木工事業は指定建設業のため、指導監督的実務経験で代えることはできません。
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このページの監修者
| 氏名 | 岡 高志(おか たかし) |
|---|---|
| 資格 | 行政書士(日本行政書士会連合会 登録番号 第11080007号) |
| 登録の確認 | 登録番号は日本行政書士会連合会の会員検索で照合できます |
| 事務所 | 岡高志行政書士事務所(2011年開業) |
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